moonlight 新一×快斗

白日の恋（白馬×快斗）
※青子ちゃん視点ショート
──────────────────


〝ゴン！ 〟

すごい音がして振り向いたら、教室の入り口で白馬くんが額を押さえて立っていた。

「やだ白馬くん、オデコぶつけたの？！」

「…ああ、大丈夫です」

「ウソ、すっごい音したよ！ちょっと 見せて」

「なんともありません…、お騒がせして申し訳ない」

そう言って白馬くんは私の前を通り過ぎて自分の席に向かった。だけど、何だかフラフラしてて危なっかしい。

「白馬くん、熱でもあるんじゃないの？ 無理しない方がいいよ」

しつこいかなと思ったけど、いつもキリッとしてる白馬くんの様子があんまり変だから、もう一度声をかけた。

「───白の騎士は白きファントムに魅入られてしまったの。ルシュファーの予言通り。必然ね」

「あ…、紅子ちゃん」

いつの間にかすぐ側に腕を組んだ紅子ちゃんが立っていた。

「ほっときなさい。何を言っても無駄よ」

「無駄って…」

「ごらんなさい」

ドタドタドタッと急に教室が騒がしくなる。
快斗だ。仲間たちとダンゴみたいになって教室になだれ込んできた。

「やった！ まだセンセー来てねえ、間に合った！」

快斗がはしゃぐと仲間も騒ぐから余計うるさい。

「ちょっと男子、うるさ過ぎ！ 快斗もたまに間に合ったからって喜ばないの。先週は三回も遅刻してるんだからね！」

「んだよ青子。自分だけさっさと登校しやがって。電話で起こしてくれって言っただろ」

「起こしたじゃないの！ どうせ二度寝したんでしょ。その寝ぐせみれば一発でわかるわよ」

「跳ねてんのはいつもですー」

快斗ったら何言っても懲りないんだから。

「…えと、紅子ちゃんゴメン、何を見ろって言ったの？」

紅子ちゃんは小さくため息を付いたようだった。そして視線だけ向けて私を促した。


「………？」


白馬くんが前を向いて座っている。

固まってるみたいにじっとして。

いつもなら私みたいに騒がしい快斗にリアクションするのに。

前を向いた白馬くんの耳が赤い。

よくみると首筋も赤い。

ちょっと乗り出してよく見てみると、白馬くんの頬全体が真っ赤っかだった。

「ねえ、白馬くん、やっぱり熱が…」

「ほっときなさいって言ったでしょう。ほら、先生が来たわよ」

どういうこと？ 紅子ちゃんが言ってたルシファの予言て何だろ。
その前になんて言ってたっけ…。確か白い騎士が白きなんとかに……。

ホームルームが始まって、その場はそれで途切れてしまった。

白馬くん、いつも快斗のことちょいちょい見たりしてるのに、今日は全然顔向けないな。
あれ、また顔が急に赤くなった。快斗が何かにツボってアハハと笑って先生に注意されてる。

うーん？

白馬くん、雰囲気がまるで恋する女子高生みたい。快斗の声に反応してるみたいな気がするけど、そんなわけないよね。

こないだまで何ともなかったのに、急に今日になって好きになっちゃうとかあり得ないし。

それとも週末に何かあったのかな。

まさか…だよね。

まさか、だよね…。







20200416
──────────────────



※前回up「月光に晒されて」翌朝というシチュエーションでした(..;)。前回は『白馬×キッド』カテゴリでしたが、今回は迷いましたが『白馬×快斗』にしてあります_(._.)_


●拍手御礼
「確率」「アブノーマルII」「赤い月」「月光に晒されて」「punishment day」

[7回]