名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
Design by:タイムカプセル
 

月光に晒されて(白馬×キッド)
※白馬くん視点、一部修正、再アップ済(..;)。
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目が覚めると僕は椅子に座らされ、縛られていた。

頬が痛い。
殴られて、目が覚めたのだ。



薄暗い部屋。

顔に向けられた白熱光。

まるで尋問を受けている犯人のようだ。

目の前に立つ男の顔を見ようと目線をあげると、また殴られた。
痛い。
痛いが、痛めつけるというほどの強さではない。
何のために加減しているのか…。かえって不気味だった。

奥の方でボソボソと男たちの声がする。

(どうする…)

(人質にして…)

(殺すか…)

聞こえてくる単語にドキリとする。

今さらながら、不覚をとった自分に舌打ちする思いで唇を噛んだ。





僕は犯人を追っていた。

母の遠縁にあたる旧家から秘蔵の貴石(いわゆる宝石の原石)が盗まれたのだ。

大人の拳にすっぽり収まるほどの紫色の貴石は、何年も神棚に供え置かれたままになっていたという。

僕は出入りの植木職人の一人が犯人ではないかと睨んだ。
植木職人として巷を渡り歩き、いわゆる旧家や地主の屋敷に入り込んでは獲物を物色し、盗み出す。おそらく常習犯、その道のプロだ。

様々な状況証拠から推理には自信があったが、決定的な物証がない。
遠縁の当主は齢八十を超えるも矍鑠(かくしゃく)たる女主人だったが、鍵をかけて仕舞っていた物ではなく遺失である故、人様を疑い盗難届など出すは愚の骨頂──と、僕の話にまるで耳を貸さない。

このままでは事件として捜査されることもなく由緒ある貴石が壊され、手の届かない所へ売りさばかれてしまうかもしれない。

僕は焦っていた。
なまじ縁者の事件だったために、独りで深入りし過ぎたのだ。

相手が単独犯ではなく〝犯人グループ〟だと分かった時には遅かった。
別の仲間に背後から襲われ、僕は昏倒した。











(もっとカネになる方法はねえか)

(あるんじゃねえか。育ちの良さそうな坊ちゃんだしよ)

(へへ、いかにも〝穢れのない〟ってツラしてやがる…その方面に高く売れるかもだぜ)

(そうだな。上手く流せばいい値がつくかもしれん)

下卑た笑い声をあげる男たちに怒りが沸いてくる。

───こんな時。

もし〝彼〟ならどうするだろう。絶体絶命と思えるような、こんな状況に陥ったら。

だが僕は〝彼〟のように身体能力が特別高いわけではない。特殊な技能もない。
身動きがとれない今、複数の相手を前に出来ることなど何もない…。

だからといって、されるがままでいるのか。
為すすべがないからといって下を向いてどうする。

顔を上げろ。

相手を見返すんだ。

自分で自分を諦めてしまってはおしまいだ…!


(なに見てんだ、お坊ちゃん)

(殺さずに生かしといてやろうって相談してんだぜ)

男は全部で4人。

逆光でいずれも人相ははっきり見えない。

(ちっ。うぜえな、その目つき)

一人の男が不意に怒声をあげ、こっちへ近付いてくる。僕が追っていた男だ。

(オイ、売り物にするんだ。もう殴るな)

(ああ…わかってる)

正面に立った男が懐に手を入れる。

白熱光のせいで口元しか見えない。

その口元に笑みが浮かぶ。

「目を閉じてな。探、お坊ちゃん」

「……!?」

名を呼ばれ、僕は目を瞠いた。

突き付けられた銃口。

見間違えるはずがない。その特殊な形状を。

『イッツ・ショー・タイム!!』








あっと言う間だった。

僕が縛り付けられていた縄をトランプ銃で断ち、怪盗はすぐさま煙幕を張った。 それも視界が利かなくなるほど大量の刺激性の煙だ。

何が起きたか理解する間もなく、男たちは怪盗の術中に落ちた。
まんまと男たちを部屋に閉じ込め、僕らは脱出に成功したのだ。





月が天空に輝いている。

街外れにポツンと建つビルの屋上だった。僕が囚われていたのは、どうやらこのビルの一室だったらしい。

月を仰いでいた怪盗が僕を振り向く。

「大丈夫ですか、白馬探偵」

「まあ…ね。咽と目がヒリヒリして、君に二度殴られた頬が痛みますが」

「そのくらいで良かったとお思い下さい。以後はもっと自重なさるよう忠告させていただきます」

言葉もない。

偶然にも怪盗が奴らの仲間に変装して潜り込んでいなければ、僕は本当にどうなっていたか分からない。

「君の助言は憶えておくよ。今回は確かに迂闊だった。反省する」

「素直で結構。それではこれはお返ししましょう。やはり私の探し物ではありませんでした」

ふわっと怪盗が大きく腕を振り、僕の方へ貴石を放る。
大きく弧を描いてキラキラと月光を弾きながら、貴石は僕の手のひらに届いた。

「素晴らしい原石です。拝見することが出来て光栄でした」

「取り戻せて良かった…。君もこの貴石を狙っていたのか、怪盗キッド」

「まあ…それはついでです。今宵は」

怪盗がマントを翻す。


───え…?


気付いた時には柔らかな温もりが離れてゆくところだった。

密やかな吐息とともに…。


「キッ…ド…?!」

「ふふ。今宵の本命は白馬探偵の唇です。確かに頂戴しました。ではご機嫌よう」





怪盗は見事に奪い去っていった。

僕にとって不浄な記憶となって刻まれていただろう今夜の一切を。
軽く寄せるだけの淡い口付けひとつで───。


早く警察を呼ばなければ。
きっと心配しているだろうばあやにも…早く無事を伝えなければ…。

そう思いながら、僕は惚けたように立ち尽くしていた。
青い月光に晒され、遥か夜空を滑空してゆく怪盗の翼を目で追いながら。

ただ立ち尽くしていた。






20200320
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※オソマツサマです((..;))。最後入れるつもりだったキッド様独白シーンはあえて割愛しました。詳細省略で全体曖昧でスミマセン。雰囲気なのでお許しを~。

●拍手御礼
「迷い鳥」「陰夢」「カルマ」「April fool」「迷惑な逢瀬」「punishment day」

拍手コメント御礼
●ひつじ様、連打連投ありがとうございました!元気いただきました!(^^)!
●雫水さま、いつも来訪いただき感謝です!拙いお話にも共感いただき嬉しい限りです~(*^^*)。



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