裏切り《2/2》(新快前提 白→快)
※何度目かの轍を踏みまくっております。視点を切り替えてみることに~(*_*;
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取られた腕を肩に担がれて体を白馬に預ける格好になった。
白馬の方が背が高いので、痛めた左側が軽く浮いたようになる。
「おいっ…!」
「保健室まで、直ぐですから」
下級生の女子数人がどうしたんだろうという目で俺たちを見て、すれ違ってゆく。
騒いだら余計に目立つ。黙り込むしかなかった。
昼休みも終わり近い。一階の廊下に人影は無く、女医先生は席を外していて保健室には誰もいなかった。
白馬に促され、簡易ベッドに腰掛けた。棚を開けて中を物色しながら白馬が俺を振り向く。
「足を診せてください」
「湿布なら自分でやる」
「僕の責任ですから」
「…………」
やはりばれている。白馬を避けようとしたために負った怪我であることをやんわり指摘され、さすがに気不味い。
しかたなく靴下を脱いで足を出した。
このままでは痛くて歩けないし、ここで意地を張ってる時間はない。急がないと授業が始まってしまう。
白馬の視線が俺の足に向けられ、一瞬ひたと留まった。
たかが素足だ。
だけど、いつかの夕闇の教室での一件があるので、俺もつい身構えてしまう。
あの時────俺を上から抑えつけ、俺を見下ろしていた白馬の瞳。
朧な薄闇の中で、揺れるように彷徨っていた────。
「やはり捻挫のようですね。湿布は薄手の物にして、テーピングで固めておきましょう。下校したら専門医にきちんと診てもらって下さい」
腫れている足首に白馬のひんやりと長い指先が触れた。
今度は俺の目が白馬の指に吸い寄せられる。
「指…」
「え?」
「いや、白馬の指、なげぇなと思って」
つい口を衝いて出てしまい、慌てて言葉を継ぎ足した。
白馬が戸惑ったように微笑む。
「俺、ほら、マジシャンの卵だから。指先にはちょっと」
「なるほど」
手先にはこだわりがあると要らぬ説明まで付け加えてしまった。
調子が狂う。
だから近付かないよう気を付けていたのに。
白馬は『じっとしていて下さい』と言って器用に俺の足に伸縮性のテープを巻き始めた。
交差させながら、ややきつめに締め付けられて、足首が無理なく固定されてゆくのが分かる。
白馬の手先の繊細さについ見入ってしまった。
「うめーな。白馬」
「ロンドン市警のレスキュー講習を受けてますから。このくらいは簡単です」
テーピングが済み、靴下を履き直して立ち上がった。
靴も履けそうだ。上履きを突っ掛け、軽く足踏みをしてみる。
「へえ。だいぶマシだ。これなら歩ける」
「腫れがひくまで無理はしないように。〝怪盗の真似〟をして、飛んだり跳ねたりは控えて下さい」
「へ。誰が真似なんかすっかよ」
応えて、廊下へ向かう。
白馬は、俺が怪盗キッドだと解って言っている。しかしそれは白馬が〝解っている〟だけであって、江古田高校での俺はあくまで黒羽快斗だ。
たとえどれだけ挑発されても。
乗ってはいけない。
どれだけ見詰められても。どれだけ強く視線を感じても、無視する他はない。
密かに白馬の想いを感じ取っていても。
それをはっきり〝知って〟しまったら、俺はもう、嘘が付けなくなる。
半分廊下に出て振り返った。
後片付けを終えた白馬が顔を上げる。
「手当て、サンキュ」
「どういたしまして」
教室に向かって先に歩き出した。
────そうして、俺は裏切る。
今夜予告状を出し、週末には怪盗のシゴトが待っている。
無事にシゴトを終えたら…工藤に逢えるんだ。
微かに痛みを覚えたのは足ではなく、胸。
裏切り続けることしか、俺には出来ない。
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黒羽は手すりを掴みながら階段を上っていった。
その姿が踊場を曲がって見えなくなると、僕は暫しの間立ち止まり、彼と間近で接する事の出来た貴重な時間を心で反芻した。
言えば、良かっただろうか。
君の日常を脅かすつもりはないのだと。こんなふうに君が過ごす校内で、君に不要な緊張を強いるのは決して僕の本意ではないのだと。
ただ、君にもっと近付きたいのだと。
20140125
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※あうう、お粗末様でした(汗汗)。
片想い白馬くんがスキすぎて超えさせたいのにやっばり超えさせられないっ。しかし、やっぱり襲わせたいー(x_x)。なので近日ダーク白馬くんを降臨させたいです。
もし本当に降臨しちゃったらトンデモな話になると思うので、その時はひらにご容赦を…。この際だからダーク平次くんもダブルで出しちゃおうかな! ←やけ気味です…(*_*;
●拍手御礼●
「ハッピー・スウィート・ニュー・ イヤー」「裏切り《1/2》」「月光リフレクション」「港のヒメゴト」「特別な響き」「月光ラヴァーズ」へ…拍手ありがとうございました!!(^^)!!
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