名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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囚人《3/3》(XX→キッド)R18
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自分の体ではないようだ。苦しい。全く動けない。
頭が…おかしくなりそうだ────。

深々と体内を犯す異物の圧迫感に、俺はなす術なく背を反らし叫んでいた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「どうだ? キッド。なんとか言え。良すぎて声が嗄れたか」

「…………」

ぐったりと首(こうべ)を垂れた怪盗は、部下に両腕を捕られ、その胸に寄りかかるようにして座位で貫かれていた。
小さく跳ね上げられては薄紅く火照った肌に汗を滲ませ乱れた吐息を繰り返している。

前髪に隠れて目元は見えないが、小刻みに戦慄く唇はそれだけで男の欲を奮い立たせるほど彩(いろ)があり、思わず私は息を呑んだ。触れたい…。触れて、心行くまで堪能したい。

「キッド、おまえは何者だ?」

思わず出たその問いは、手柄をたてるチャンスが訪れていることを私に気付かせた。

そうだ。本部の手を煩わせるまでもなく、私が尋問してしまえばよい。
しどけなく開かれたキッドの華奢な脚に、私は手を這わせた。

「いいか…キッド。ここで正直に返答すれは、本部に引き渡すのを先に延ばしてやってもいい。多少は生き長らえる事が出来るぞ」

「…………」

反応がない。聞こえているのか、いないのか。

「言え。おまえの本当の名は? 何のために我々が探している宝石を奪おうとするのだ」

僅かだが、キッドの頭が持ち上がる。

「そうだ。答えろ…! 言えば私がおまえの助命を嘆願してやる」

いい考えだ。この美しく頑なな怪盗をずっと手元に置いておきたい。私だけの〝囚人〟にして─────。

「……とって、つけ…た…ような、質問だな…」

「ほう。こんな状態で会話が出来るとは気丈だね」

一つ大きく揺すられ、キッドはああ、と息を吐いて頭を仰け反らせた。伸びた喉に記した赤い花弁が艶やかに目を惹く。
部下に蹂躙されているキッドの姿は、私をますます高揚させた。

私は控えているもう一人の部下に〝薬〟を出せ、と命じた。
このままキッドを追い込んでしまおう。〝薬〟を使えば、もっと効果的にキッドを導くことが出来る。

机から部下が上着をとる。なにか小物が落ち、カチリと音をたて床に転がった。だが私の意識は目の前のキッドに釘付けになっていた。

「早くよこせ!」

部下に命じながら、私は手のひらで若々しいキッドの前茎を掬い取った。

「やめろ…!」

「かまわないさ… 素直に任せればいい」

「は…なせ…っ!!」

キッドが掠れた怒声を出す。
私は構わず手に包み込んだキッドを柔やわと優しくなぞっていった。

キッドを抱いている部下が低く呻いて体を震わす。キッドの中へと放ったようだ。
丁度いい。苦痛が勝っていては叶わなくても、今ならキッドを御する事が出来る。
上着のポケットから小型の注射器を取り出した部下が、パッケージを開封する。

ぴくん、とキッドの体が震えた。見るとキッドの頬が朱に染まっている。唇から零れる切なげな吐息。
〝薬〟を使わずとも、これなら…。
伏せていたキッドの睫毛がゆっくりと開かれ…その蒼い大きな瞳が潤むのが判った。

私は、キッドの唇に口付けた…。


いや、口付けようとした。



突然目に火花が散り、視界が暗転した。

ドスンという音と振動があって─────ズキズキと響く痛みに、やっと目を開けた。
私はいつの間にか床に突っ伏していた。
漂う甘い香り。煙だ。

下に血が滴り落ちる。…これは?
私の…鼻血、か?

鼻頭に強い一撃を受けたのだ。眼鏡が割れて落ちていた。
まさか、そんな気力が残っていたとは…!
ハッと部屋を見渡した。

「おい、おまえたち?」

「遅いよ。部下はふたりとも眠らせた」

「…な、に…?!」

煙幕で半分霞んでいた部屋が見通せるようになってきた。倒れ込んでいる部下を見て、私は呆然と口を開けた。
キッドを捕らえていたはずの部下は鼻と口から血を流して、もう一人も仰向けに倒れている。

四つん這いになり、恐る恐る声がした方を振り向いた。

そこには─────。

白いマントを片肩から体に巻き付けた怪盗が立っていた。
私にまっすぐ、あの銃を向けて。

「か…怪盗、キッド…!!」

ぐらぐらした。
立ち上がろうと膝を立てると、サッと風が耳元を切り裂いた。痛みが走る。

「動くな」

キッドの凍るような瞳が私を射抜く。
部下二人を失い、さらに冷たい怒りを湛えたキッドの眼差しに射抜かれ、私の虚勢は脆くも崩れ去った。

「ま…待て。わ、私を…まさか、殺すつもりか…?」

口許だけ小さく上げて怪盗は微笑んだ。

「俺が手を下すまでもないだろう。俺を逃せば、あんたはその責を問われる」

「……」

床に着いた手が震える。その通りだ。
私はキッドに飛びかかった。
だが踏み出した足はふわりと頼りなくさまよい、伸ばした手は空を切った。
銃の台座を振り上げるキッドの姿を見たのが最後だった。
首筋に衝撃を受け、私は完全に意識を失った。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



エレベーターで地下から真っ直ぐ屋上に出た。

怪盗の全てがあの部屋に置かれていたのはラッキーだったとしか言いようがない。助かったのは自分の力というより、俺を侮っていた連中の驕りのおかげだ。部屋の外には、引き上げさせたのか見張りすらいなかった。
本当はぶっ殺してやりたいと思ったが……やめておいた。

下肢が痺れて辛い。
さっきは気が立っていたからなんとかなったが、だんだん辛さが増してくる。
一刻も早く此処から離れなければならない。追っ手がかかれば、見つかったら逃げ切れない。

俺は飛び立った。前方に工場らしき広大な施設が見える…。一晩くらい身を隠す場所があるかもしれない。
せめて、あそこまで。



追っ手の車のライトが下に迫っていた。

俺は工業団地内に降りた。降りたと言うより、墜落に近かったが。

建物と建物の間の空き地だった。

風が吹いている。

何時だろう。夜だった。月はどこだろう?

俺は目を閉じた。近付いてくる足音が聞こえる。一人だけだ。工場の人間だろうか…。追っ手でないことを祈るしかない。
動けなかった。

キッド、と呼ばれた気がした。
憶えがある声……。


誰だろう。

意識が闇に溶けてゆく。

俺は見えない誰かに自分を委ねた。

不思議な安堵を覚えながら。





20130502

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(あとがき)
※ラストに現れた誰かは新一です。あっさりネタバラシっ…(*_*;
2011.11.10~up「リセット」に繋がる内容をイメージして今回書いてみました。完全に同次元のお話には微妙になっていませんが…。
よろしければ「リセット」も参考までにお読み下さいー。宣伝~っ(+_+)。

※そして例によっていらん補足なんですが、キッド様前方の眼鏡男に怒りの頭突きを喰らわし、慌てた後ろの部下にも後ろ向きにこれでもかの強烈頭突きをかまして怯ませ…すぐさま落ちていた煙幕弾を拾って叩きつけ…どーにか形勢逆転したという事に…どうかご了承を(汗)(汗)。
※キッド様が「囚人」になった経緯は…ご想像にお任せしますーあうあうっ(*_*;

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