未明の道《2/3》(新快前提 ××→快斗)R18
★昴×快斗のダークサイドストーリー。要注意・18才未満の方は閲覧不可。
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「出来れば君を傷つけたくなかったのでね。こうすれば無闇に争わなくて済む」
がくりとうなだれた少年の体を抱き上げ、咥え煙草のまま私は微笑んだ。
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意識はあるのに四肢が痺れて思うように動けない。指先の感覚が、まるで自分のものではないかのように遠い。
自分を見下ろす霞んだ眼差しの一見優しげな面立ちの男を見つめる。しかし男が見た目とは違い凄腕を隠した〝潜入者〟だろうことは、先刻玄関先で腕を捕られただけでよく分かっていた。
「落ち着いていますね。もっと慌てると思ったのですが」
「…………」
そう。これから自分の身に起こるだろう禍を予感しながら、なぜか心は静かだった。
沖矢と名乗る男の手管にアッサリ落ちた自分が迂闊だった。足掻いたところで、この状況から沖矢が自分を逃すはずがない。
最悪────身を任せて、何か沖矢の癖なり、例えば体の痣なり、会話の内容から僅かでも正体を探るヒントが得られれば、それはそれでかまわない────。
多分にポーカーフェイスを保つため自分に言い聞かせている自覚はあったが、なによりこの男に自分の弱さを見せる事が堪えられなかった。簡単に言ってしまえば〝負け惜しみの強がり〟でしかなかったが。
「さっきも言いましたが、君がどうしても拒むというなら何もしません。私は君を抱きたい。強制しての〝強姦〟ではなく、合意の上の〝和姦〟でね」
「………」
男の言葉を聞いて、皮肉な笑みが頬にのぼった。ふざけた野郎だ。煙草に仕込んだ怪しげな薬品で人を陥れておいて、なに言ってやがる。
「可笑しいですか? 言い方を変えましょうか。君とゲームをして、愉しみたいと言っているのです」
「……好きにすればいいだろ」
掠れていたが、声が出た。沖矢がクッと哄う。
「いいのかな。後悔しないかい」
「その代わり…ここを出て行け」
「ほう。家主に無断で私に立ち去れと?」
「そうだ。工藤になんかしてみろ……おまえを殺してやる」
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真っ直ぐな瞳で私を見上げ、懸命に自分を律しようとしている少年の様子に私は微笑んだ。
「では交渉成立ですね」
「…………」
「条件は〝今夜一晩君を自由にしたら、私はこの屋敷を出て行く〟」
「………」
「どうなんです?」
「そうだ…!」
「ふっ。では黒羽くん、約束ですよ。いまから私の指示にすべて従ってもらいます」
私の言葉に少年の頬が強ばるのが判った。
ベッドに横たえた少年に寄り添い、私は契約の印に少年の唇に口付けた。
一枚ずつ衣服を剥いでゆく。
少年が中に着ていたTシャツを手首のところでぐるぐる纏めて手枷にする。少年が小さく『そんな趣味かよ』と呟くのが聞こえた。私は少年の頬を一発かるく平手で打った。
「……ってえ」
「ゲームですよ。拘束・加虐という行為は、セックスにおいてする側される側ともに高揚するための一つの手段です。まあ、この場合は君が本当に私に服従する気があるのかを試す意味もありますが」
けっ、と不貞くされた声を出して横を向いた少年の髪を掴んでこっちを向かせ、もう一発頬を張った。今度は少し強く。
髪を乱した少年が私を睨んでくる。
「そそるだけですよ、君のその目はね」
私は少年の下肢から残りの衣類を剥ぎ取ると、裸にしたその姿を先ずは上から下まで眺めて観賞した。
すらりと伸びた少年の肢体は期待を裏切らぬものだった。滑らかで俊敏そうな若々しい素肌。腕も腿も腰も細いが、貧弱というには当たらない。
よく見ると肩と脇腹に、まださほど時を経てない疵痕が残っていた。なぜこんな傷を負ったか訊いても答えはしないだろうが、それがまるでアクセントのようにこの少年の不安定さを際立たせていた。
「もう痺れは引いてきているはずです。脚を開いて」
「……………」
私に見つめられている少年の葛藤が手に取るように判る。自らの意志でじりじりと開かれてゆく若い肢体。私は自分のシャツの前だけをはだけ、少年が開いた脚の間に入った。立てられた膝の片方を、左手でぐいとさらに押し開く。
「動かないで」
私は手持ちのループタイから引き抜いた革紐を少年の腹に乗せた。丸く滑らかに加工された革紐の、両端の堅い部分だけをカッターで落としてある。少年の瞳が不安げに彷徨う。
私はその革紐を両手でぴんと張って少年の前茎に近付けた。ハッと息を飲んだ少年の腹筋が緊張し、滑らかな肌が一気に粟立つ。
「…っ」
くるくると革紐を少年に巻き付けてゆく。有り合わせだがこれも拘束具になる。結び目を幾つか施すと、それなりの形になった。こんな事をされるとは予想してなかったのだろう、少年が震えている。
「何か言いたい事がありますか」
「……………」
どうやら観念して、せいぜい堪える覚悟を決めたようだ。私を睨む眼差しが低温で燃える炎のように揺らいでいる。
「似合いますよ。さて…少し紐が余りました。ここに挿してしまいましょうか」
何をするか解るよう告げてから、革紐を少年の先端に押し当てた。
「…キチガイ!」
「動くと中が傷付きますよ。感染症でも起こしたら大変です。我慢して」
私は少しずつ、無理をさせすぎないよう少年の様子を見ながら数センチの深さまで少年の前茎へと革紐の両端を挿し込んでいった。
冷や汗を浮かべて屈辱に堪えている少年の体を起こした。スラックスのジッパーを下ろし、顕わにした私自身を顔に近付ける。
「咥えて」
この場の主従を最も端的に思い知らせる指示だ。少年の頬に血の色が差す。
「どうしました? 前を縛られたのがそんなにつらいですか。いまならギブアップを許してもいい。ただし…」
言いかけると、少年がおずおずと口を開いた。
「いい子です。約束は守るためのものですからね……」
私は髪に指を通して少年の頭を捕まえ、少年の咽に私を押し込んだ。
う、うっ、と少年が呻く。
あくまで前戯のうちだ。咥内に出すつもりはない。こうして少しずつ追い詰め、どうしようもなくなるまで精神的に疲弊させてゆく。体は裏腹に敏感になり、やがて快楽を覚えるようになる。前を拘束したのも、それをはっきり自覚させるためだ。
初めてではないようだが(この少年の相手が工藤新一だけかどうかは分からない)、この若さだ……さして経験があるとは思えない。果たしてここまでの様子を見ると若葉マークの域は当然出ていない。
私がこの少年に与えたいのは苦痛や屈辱ではなく、自我を失うほどの甘い快楽だ。この反抗的だが魅力的な少年が、私が与える快楽に屈し私の下で身悶え喘ぐ姿を見てみたいのだ。
「私に任せておけば大丈夫ですよ。時間はあります。一緒に愉しみましょう」
十分に膨らんだ私自身を、少年の咥内から引き抜いた。
うつ伏せにして頭を枕に押しつけ、膝を立てて腰を高く掲げさせる。灯りの元に露わにさせた少年の後ろの窄まりを、今度は丁寧に愛でてゆく。
「綺麗だね。傷付けないよう、少しずつ馴らして柔らかくしましょう」
「だまれ」
少年がくぐもった声で私の言葉を遮る。
もちろんこうして言葉にするのも戯れのうちなのだが、いまの少年はそれを愉しむ気分とは程遠いようだ。
「ローションです。専用のものはないので、代用品ですが我慢して下さい」
「うるさい!」
言葉だけはまだまだ反抗的だ。しかし素肌は立て続けの凌辱に反応し始めている。もしかしたらその自覚があるために、余計に頑なな言葉を発しているのかもしれない。
指を一つ。
少年の窄まりにそっと挿し入れ、反発を受けながらぐるりと回すように動かす。
懸命に呼吸を抑えているようだが、少年の肌が竦んでいるのが判る。ぐいと押し込むと、顔を枕に押し付け低く声をあげたのが判った。
さらにもう一つ。ローションのせいで少年にとっては神経を逆撫でするように淫靡な音が響く。
「あ……っ、あ!」
「楽にして」
内部を拓くように動かしながら指をさらに深めてゆくと、少年の体内のポイントに近付いたのか、ビクッと少年が体を大きく震わせた。見ると戒めている前がぷくりと膨らむのが分かった。ゆるめに巻いた革紐がぴったりと吸い付くようになってきている。
「ああ…っ」
少年の声が続けて漏れる。私は微笑んだ。奥まで差し込んだ二本の指を大きく蠢かし、少年の焦燥を煽れるだけ煽る。
「うっ…、く…」
「いい具合に解れ始めたね。この辺りがいいのかな」
「だまれ…、だまれっ!」
指だけで少年の後ろを犯しながら、空いてる方の指先で少年の胸元の突起を左右交互になぶった。強く抓ねあげると少年の体に力が入り、後ろを犯している指が締め付けられる。その感覚がさらに少年を混乱させている。嗚咽する少年の細い首筋に口付け、赤く腫れるまでその胸の突起を弄ぶ。
次もやはり代用品だが、玩具に見立てた適当な形状の物質にローションを塗り、少年の後ろにゆっくりと押し込んでいった。
「うあっ!…や…っ、な、なに…?」
さすがに異物感に怯えたのか、少年が振り返って私を見上げた。
「これも代用品です。スプレー缶に布を巻いてビニール袋を被せた即席の性具ですよ」
「…………」
少年にはもはや私が怪物に見えるのだろう。私を見る瞳が震え、言葉を失っている。
「痛みはありますか」
「…………」
「我慢できますね。では」
ググッと深く押し込むと、あうっと呻いた少年は、一つに束ねてある両手をシーツの上で堅く握り締めた。
肩で息をしている。背中に汗がうっすら浮き、それが光って美しい。ゆっくりと代用玩具を揺らすようにしながら根本近くまで埋めることを繰り返す。少年の体がこのあとの私の抽挿に対応出来るようにするためだ。慣れておけば、あとは純粋に体の奥を穿つその感覚に集中させやすい。
後ろをいったん解放してやると、少年はぐったりとシーツに体を沈ませた。両手で顔を隠しているが、泣いているのが判る。体を内から荒らされる屈辱と、同時に湧き起こる己の感覚とのギャップに戸惑い、憤っているのだ。休ませずさらに凌辱を加え、追い込むことにする。
「……あ、ま、待って」
仰向けに脚を開かせようとすると、少年はびくりと体を竦ませた。
「お願いかな? 何ですか?」
「す、すこし、…待って、ください」
目を伏せて少年が呟く。だいぶ角が落ちてきている。順調に追い込めている証拠だ。
「こっちを向いて。顔を見せてご覧なさい」
「………」
顎に手を添えて持ち上げた。涙を拭ったのだろうが、目が赤い。おそらく私に直接下される嗜虐的な行為そのものよりも、自分自身にはっきり現れている隠しようもない変化が、少年の自尊心を著しく傷付けているのだろう。
指を伸ばし、膨らみ震えている少年の幹に挿し込んだ革紐をほんの少し引っ張った。
「うあっ…!」
大きく腰を跳ねさせた少年の先端から透明な雫が伝う。大きく左右に頭(かぶり)を振って、抗うすべなく鋭すぎる刺激に嗚咽を漏らす。
「うっ、うっ…」
「効いてるようですね。ここも男性にとってこうした感覚を強く覚える急所だそうです。なかなか自分ではここまで試せませんがね…。どうです?」
紐を持って揺らすと、体中を赤く染めた少年があああ、と苦しそうにのた打った。その姿が何ともいえず、見ているだけの私をも強く刺激する。
「は、なせ…!」
「指図するのは私の方ですよ。忘れましたか」
その時、不意に空気を震わせるエンジン音が屋敷に近付いてきた。
────キキイ、と、車のブレーキ音が響く。
ドアがバタンと閉まる音と振動が、夜の空気を伝わって部屋の窓に響いてくる。
見下ろすと、少年は凍り付くような表情で視線を宙に浮かせ、唇を震わせていた。
「どうやら、家主がご帰宅のようです。早かったですね。戻らない日も多いのですが」
私はそう言って微笑みかけ、青ざめて震えている少年を抱き寄せた。
少し早いが、いいだろう。家主も戻ってきた。
私は少年の腰を持ち上げて大きく脚を割ると、すでに十分熱を蓄え潤んでいる少年の後ろに私自身を押し当て、その場所を深く貫き通した。
未明の道《3/3》R18 へつづく
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