迫り合い《1/2》(新快前提 3/4組)
※脱線度の高い単独パラレルです…(*_*;
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「服部! 次はもう決勝かよ。さすがだな」
「遅いで~工藤。おおっ、黒羽も来てくれたんかい、こらええとこ見せな」
オレと快斗は服部が出場している剣道大会の会場に来ていた。
横断幕には大きく〝都道府県対抗・高校生選抜剣道大会〟の文字がある。
ここへ向かう途中、ダメもとで快斗を誘ってみたら『来る』というので、慌てて待ち合わせしてたら着くのが遅くなってしまったのだ。
快斗がキョロキョロしながらつぶやく。
「にしても…想像以上にむさいな~。服部の彼女は応援に来てないの?」
「剣の勝負に女の声援なんぞいるかい。おとなしく大阪で待っとれゆうて、置いてきたわ」
「へえそう。万一彼女の目の前で負けたりしたらカッコ悪いもんな」
「アホ、ちゃうわい!」
快斗に掴みかかろうとする素振りだけして、服部がチラリと視線を移した。
見ると、その視線の先に決勝の相手チームと思しき連中が集まっていた。
服部の目がいつになく不敵なものに変わる。
「…なんか嬉しそうだな、服部」
オレがそう言うと、服部はニカッと笑った。
「そらあな。こんなチャンスないで。遠慮のうブチのめせるよって」
「ブチのめすって…誰を」
「決勝の相手は東京や!」
東京って……。
オレより先に、快斗の方が服部の対戦相手に気付いたらしい。『ええ?なんで?うそ!』と言いながら後ずさってくる。
「なんだよ、快斗」
東京チームの中央にいる背の高い男が振り向いた。と思ったら、こっちに向かって歩いて来る。
────え?
うそ!?と、思わずオレも快斗のリアクションをまんまトレースしていた。
だって、やってきた〝そいつ〟は。
「やあ黒羽くん! 嬉しいな、君が来てくれるなんて」
道着姿も爽やかに、にっこり笑って快斗に手を差し出した優男。
なんと東京チームの主将は、まさかまさかの白馬探だったのだ。
「は、は、白馬! おまえっ、剣道すんの?!」
白馬に手を取られて握手しながら、快斗が妙に焦った声を出す。確かに驚きだ。
「白馬、おまえも出場してたのか」
「工藤くんは服部くんの応援ですか? だったら黒羽くんには僕の応援をしてもらわないと、不公平ですよね」
快斗の肩に手を置こうとする白馬から、快斗の襟首を掴んで引っ張った。
「ぐえ。なにすん、工藤っ」
「おまえの剣道の腕前が決勝に出るほどとは知らなかったぜ」
快斗を引き寄せたオレに、白馬が少しばかり憮然とした顔を見せる。
「……団体戦ですから、僕一人の力ではありませんよ。もちろん幼い頃から父や父の友人たちに手解きを受けていましたので、ある程度はね。服部くん、どうぞお手柔らかに」
「こちらこそ楽しみにしとるで、白馬」
服部の言葉に再びニッコリと会釈して、白馬は自分のチームへ引き上げていった。去り際ちらと振り向いて、快斗にウィンクをして。
「快斗……顔赤いぞ」
「ち、ちげーよ。アノヤロ、やることがいちいち恥ずかしいんだって」
なんとなく面白くない。
「おい服部。大丈夫だと思うけど、勝てよな」
「ま、油断せんと本気出しゃあ、いけるやろ」
「油断したら……?」
快斗の問いに、服部が答える。
「勝負に絶対はない、ちゅうのはよく言われることや」
まさか。
服部にこんな事を言わせるなんて、白馬はそんなに強いのだろうか。
快斗もまだ首を傾げている。
「これがフェンシングならわかるけど、白馬が剣道なんてさ…」
「俺もヤツが剣道やりよるなんて知らんかった。東京のメンバーに白馬の名があって驚いたで。しかも聞いたら怪我で外れたメンバーの代役やって、そやのに主将や。自分の試合と被っとったんで一試合しか見とらんけど、準決勝ではそこそこええ動きしとった」
「そ、そうなの?」
「まあ、考えてもしゃあない。見とれ、バシッと決めたるさかい。おっ、召集や。ほなもう行くで」
「頑張れよ、服部!」
オレの呼び掛けに手を振って、服部は大阪チームへ戻っていった。
それにしても……ここで服部と白馬の剣道対決に立ち会うことになるとは思わなかった。
快斗を見る。目が合うと、快斗は微妙に目を逸らして首を竦めた。
「快斗……おまえ、もしかして白馬が出るって」
「し、しらねーよ。 工藤に誘われなきゃ、こんなトコ来るもんか」
「なに焦ってんだよ。あやしーな」
「ばか。なにがアヤシいんだよ。白馬が剣道なんて、俺が一番びっくりだっつの!」
ざわついていた場内が静まり始める。
大阪と東京チームの入場に拍手が湧き起こる。
オレと快斗は大阪サイドの観客席の一番前に陣取った。
決勝が始まるのだ。
どんな勝負になるのだろう。
服部と、白馬の剣道対決は────。
迫り合い《2/2》へつづく
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※うーん、どうしてこんなん書き始めてしまったのやら(汗)。3/4組的な話を目指したつもりだったのに…。なんとかまとめねばですっ(*_*;
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