名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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怪盗 VS 暗殺者《2/2》
カテゴリ★インターセプト2

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暗闇から歩み出た男の腕にサイレンサーが握られている。

月明かりに照らされたその男は、紛れもなくあの男─────〝ジン〟だった。

「怪盗キッド。おまえのおかげで俺は工藤新一を手に入れるチャンスを逃し、組織は大事な〝タイミング〟を逸したんだ」

「では…その恨みを晴らすために、今宵わざわざ出向いて来られたという訳ですか? それはそれはご苦労様なことです」

肩を竦め、努めてゆっくり話す。
少しでも間を稼ぐためだが、相手もプロだ。サイレンサーの照準は俺の眉間を狙って微動だにしない。

「それならとっくに殺りに来てる。俺が動いたのはな…おまえがリストに載ったからだ。殺しのな」

「…………」

「それも特マル付きの〝A〟だ。よほど〝先方〟は焦っていると見える」

「もう少し詳しくお聞かせ願いたいですね。〝先方〟とは?」

「フッ。死ぬ前の最後の質問にしちゃあ愚問だな。決まってるだろう、おまえを消したがっている連中さ。その宝石は俺が預かる。放って寄越しな」

「そうは参りません。これは持ち主に返す品です」

「パンドラじゃねえってことか…」

ジンから発せられた言葉に耳を疑う。

(パンドラ、だって?)

「だったらこっちもその宝石に興味はねえ。胸に抱いたまま死にな」

「!!」

ジンが引き金を引く。耳元を掠める銃弾。横っ飛びに避けて屋上の縁を蹴った。
上空を舞いながらジンの続けざまの射撃を紙一重で避け、構えたトランプ銃を一発だけ放った。ジンが上体だけでトランプをかわす。
近距離だ。一か八か。着地してジンの目の前に飛び込んだ。サイレンサーの銃口に手のひらを押し当てる。

立ち上がってジンと真正面から向かい合った。
真っ白な衣装の怪盗の俺と、黒衣の暗殺者が。
吹き抜ける風が俺のマントを、ジンのコートを靡かせた。

「このまま撃てば暴発しますよ」

「ハッタリしか手がねえか。しかし俺の弾をこうも避けるとは、さすが怪盗ってやつだな」

「お褒めに与り光栄です。……ひとつお聞かせ願いたい。なぜパンドラをあなたがご存知なのか」

「数秒後には屍だ。教えてやる。〝上〟が手を組んだのさ」

「……………」

「利害が一致したってところだろう。その最初のシゴトが、おまえを消す事だ。パンドラの秘密を知り、パンドラを横取りしようと狙う邪魔者をな」

「申し上げたでしょう。暴発すれば、あなたもただでは済まない」

「白い手袋なんざ簡単に突き抜けるぜ」

「銃口に仕掛けを押し込みました。撃てばあなたは利き手を失う。利き手を失った暗殺者など、もう役には立たない」

ジンの眼がさらに凶暴なものになる。

「貴様…、それで脅しているつもりか。この俺を」

「そうなれば、あなたも〝消す者〟から〝消される者〟に立場が変わるのです」

数秒の静寂。

無視して引き金を引くかと思ったジンは、しかし意外にもあっさり銃口を退いた。

「フン……癪だが、下手な賭けはしねえ主義だ。おまえの度胸に免じて少しばかり寿命を延ばしてやる」

「ありがたいですね」

指の震えを見透かされないよう、拳を握って背筋を伸ばした。冷たい汗が背を伝う。この男の気が変わらぬうちに脱出しなくては。

閃光弾を叩きつけ、俺は屋上から飛び立った。ジュエルは後で戻すしかない。

しかし、ほっと息をつく間もなく次の危険が迫っていた。すぐ先の斜面に停められた不審な車の窓が開いている。体を返した。
鋭く風を引き裂く音が行き過ぎる。
もう一発くる…!
俺は翼を閉じた。真っ逆様に落下する。元々の高度がない。地に叩きつけられるギリギリで翼を再び開いた。脚を路面の植樹に擦りながら、なんとか体勢を立て直した。

もう一人、正面にスナイパーが待機していたんだ。だからジンは敢えて無理をしなかったのか─────。

パトカーのサイレンが静かな町並みに響き渡っていた。美術館と連絡が付かないので痺れを切らした中森警部が動き出したんだろう。
警察は…中森警部は、俺が襲われた事に気付いただろうか?


山陰に降りて黒羽快斗に戻り、俺は道端のガードレールに座り込んだ。
パンドラがジン達の組織にも知られているなんて。連中が手を組んだというのは本当なのか…?

明るかった月は雲に遮られ、街灯が届かぬ細い夜道は暗くて何も見えなかった。それは何が潜んでいるのか知れない、不気味な真の闇だった。
渦を巻いて動き出した黒い運命に、呑み込まれてゆくような気がした。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


銃口を改めたが、やはり何も出てこなかった。たいしたハッタリを咬ましてくれたもんだ。それにしても。
キッドは少なくとも三十~四十代と聞いていたが、間近で対した怪盗は、もっとずっと若い……少年と言っていい歳頃に見えた。そう、ちょうど工藤新一と同じくらいの。

─────ちょっとお、ジン。自分が片付けるからアタイの出番はないって言ってたじゃない!

「そう言うな、キャンティ。おまえこそ白い翼を撃ち抜くなんざ簡単過ぎてシゴトのうちに入らねえって言ってたじゃねえか」

─────フン…。アイツ、一発目を避けた後、翼を閉じて落下したのさ。

「見ていた。墜落直前、地表に体を擦りながら、また浮上して丘を越えて行きやがった」

───── あとはないよ。アタイもアンタも。結果を出さなけりゃねえ。

「おまえに言われなくても解ってるさ」

キャンティとの通信を切った。
工藤新一に対するGOが出なくて退屈していたが、いい獲物に出逢えたもんだ…。

怪盗キッド。せいぜい愉しませてもらうぜ。





20130404

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※インターセプト2、かなりの見切り発車です(汗)。ところどころ書きたいシーンのイメージはあるんですが、上手いこと辻褄合わせつつ〝煩悩〟できるか…自分としても不安が山盛りですが…がんばってみます~(*_*; (*_*;


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