名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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魔法の塔《2/2》
カテゴリ★インターセプト3
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「バーボン、そいつはオレの獲物だ。こっちに寄越せ!」

ジンが迫る。

俺は工藤の肩にマントを取り付け、その背中を押した。

「飛べ、工藤。その子を離すな!!」





墜ちてゆく工藤の姿が瞬く間に小さくなる。一瞬肝を冷やしたが、パッと開いた白い翼に、詰めていた息を吐き出した。


そうだ工藤…いいぞ。風に逆らうな。


工藤ならやれると信じていたが、実際のところは賭だった。よかった。
未明の三日月の下、ハンググライダーは海風を受けて遠く運ばれ、霞んで見えなくなった。
これでいい。

俺は振り向いて屋上の縁に腰を下ろした。
ガタイのいいウォッカがすぐそばに来ていた。

「バーボン、どういうことだ? 今のはシェリーと工藤新一だったんじゃねえのか。まさか逃げられたのか?!」

「そうです」

「─────ふざけるな」

ウォッカのすぐ後ろでジンが表情を変えずに吐き捨てた。

「逃げられたんじゃねえ。逃がしたんだ」

「ええっ、本当か? なぜだバーボン、シェリーを捕まえたのはてめえじゃねえか」

「そいつはバーボンじゃねえぜ、ウォッカ。偽物だ」

うげえっ、と声をあげたウォッカが俺を二度見する。なかなかリアクションがいい。つい笑ってしまった。

「ハハハ」

「く、くそっ。てめえっ、何もんだっ!!」

大声で喚くウォッカを制してジンが鈍色の瞳を光らせる。

「またオレの目の前で工藤新一を逃がしたな、怪盗キッド」

「か…怪盗キッド? こいつがですかい、兄貴!」

仕方がない。微笑んで立ち上がる。

「お静かに。あまり騒ぐと美しい三日月が驚いて雲に隠れてしまいます」

足元に転がした煙幕弾を踵でパンと踏んだ。
白い煙が立ち昇る。
マントがないので格好がつかないが、それでも怪盗の気品を損なわないようシルクハットに指を添え、モノクルのクローバーを揺らして微笑んだ。

「先日に続いて此度もとんだ失礼を」

変装を解いて怪盗の姿で挨拶すると、ジンが左手のサイレンサーを持ち上げた。

「馬鹿な奴だ。このタワーの屋上には逃げ場も隠れる場所もねえ。自慢の翼を工藤新一にくれてやって自分は殺されに残ったか」

「生憎ですが、まだ死ぬつもりはありません」

ヘリの爆音が徐々に近付いてきていた。

「警察がもうすぐここへ来ます。いま私を撃って痕跡を残すのはプロとして拙いのではないですか?」

「フッ、そこまで気を使ってもらわなくともけっこうだ。望み通り殺してやる、怪盗キッド」

ジンの銃口が俺の胸に向けられる。

1メートルもない。





風に乗って響くヘリの爆音がさらに大きくなる。

今にもトリガーを引くかと思ったジンは、しかし俺に突きつけていた銃口をスッと逸らした。

「貴様……。何か仕込んでるな」

「…!」

さすが修羅場を潜っているプロだ。そう簡単に乗ってはくれない。
その時、近寄ってきたヘリのサーチライトが点った。ジンとウォッカの注意がヘリに向けられる。
俺はトランプ銃を取り出してワイヤーを発射した。
屋上出入口の屋根の段差に先端が引っ掛かる。全速で巻き上げると体が宙に浮いた。
あっ、と叫んだウォッカが俺を撃とうするのをジンが制止する。

(!)

扉の前に着地した俺の視界に、揺れる影が映った。
跳ね起きて避けようとしたが遅かった。

後頭部に衝撃を覚え、俺は膝を着いた。

─────もう一人隠れていたのか。

痛みを覚える前に、意識は闇に溶けていった。





20130912

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