名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
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★2013-2014・新快年越しhappy-SP★
ふぁざ*こん2(新一×快斗)
カテゴリ★デジャヴ
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「わりぃな。今日はオレんち片付けて、明日は快斗んちの大掃除手伝ってやるからな!」

それだけ言うと、オレは快斗の返事を待たずに応接間から廊下に飛び出した。


何度か黒羽家にあげてもらったことはあるけれど、快斗はいつも渋々で、階段を昇らせてもらったことはまだ一度もない。
ぼちぼち許して欲しい。快斗の部屋に入ること。
……まあ、快斗が〝探偵〟であるオレを家に入れたがらないのも解るんだけど。


快斗、なんて言うかな。
やっぱり駄目って言うかな。

雑巾とガラスクリーナーとゴミ袋と持って部屋に戻った。様子を伺いながら、そっと中を覗く。すると。

快斗が何かを持ってじっと立ち尽くしている。
何をしてるんだろうと思って近付くと……快斗は手にした写真を食い入るように見つめていた。

「あ、それ」

ここに置きっぱなしにしてたのか。
この前長野県警に行った時に撮ってもらった写真。わざわざプリントして上原刑事が郵送してくれたものだ。

写っているのはオレと県警の大和警部、上原刑事、写真を撮ってくれた婦警さんたち、それから……

「工藤、これ誰?」

快斗がいきなり訊いてきた。

「え、どれ?」

「この後ろにいる人。口髭の」

ああ。
ピンときた。快斗が写真を見て固まっていたわけが。

「長野県警新野署の諸伏高明警部。〝所轄のコウメイ〟さんだよ」

快斗はまだじっと写真を見ている。聞いてんのか?

「もう少し大きく映ってるのがあるぜ」

「どれ?」

快斗から写真を受け取り、何枚かめくって指で示す。

「ほら」

「…………」

しばらく見つめた後、快斗はふっと顔を上げて呟いた。

「よく見るとそんなに似てない」

「親父さんに?」

「違う」

目が潤んでる。
快斗のヤツ、似た面差しの人を見ただけで、こんなに。

「…ファザコン」

「うるさい。ちょっと似てるって思っただけだ」

「泣くなよ」

「泣いてねえ」

「快斗」

「トイレだ、付いてくんな!」

快斗は怒鳴って部屋を出て行ってしまった。
掃除が捗らない。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・



なんでだろう。

目元が似て見えたんだ。口髭も。
一瞬父さんが写ってるのかと思ってびっくりした。

だけど他の写真で見たらそうでもなかった。当たり前だけど別人だ。父さんのはずがない。
なのに甦った面影が次々と溢れ出してきて、止まらない。


父さんの顔。
父さんの声。
優しい手。
長い指先。
頭を撫でてくれた手のひらの感触…。

「くそ」

涙が出てくる。

いつもは胸の奥に押し込めて重石を乗せて蓋をして、ちょっとやそっとじゃ開かないようにしてるのに…。
写真を見て驚いて、跳ねた鼓動で重石が転がり落ちてしまった。それで蓋がずれて隙間が開いたんだ。
寄りによって、工藤の目の前で。



─────コンコン。

トイレのドアがノックされる。
あっちいってろと言いたいが、きっと鼻声なので声が出せない。


『快斗…、いったいどうしたんだね?』


「・・・」ん?(-_-)#


『出てきなさい。いい子だから』


工藤が変な声出してる。

何やってんだ…、コイツ。
もしかして────俺の親父のふりしてしゃべってるつもりなのか。

『快斗、早く出ておいで。父さん怒ってないから』

バカヤロウ。

「フザケンナ、親父の声はそんなダミ声じゃねえ。もっと甘く危険な香りが漂うダンディーな声なんだよ!」

『……シャアみたいな?』

「そうだよ!」

応えてから、可笑しくなってちょっと吹き出した。仕方ない。ドアを開けて出て行くと、工藤が微妙に神妙な顔して立っていた。





作戦成功! 投降させたぜ。
しなし油断せず、ここは謝っておこう。

「快斗、悪かったよ…茶化して。もう言わないから」

「何をだよ」

「快斗がファザコンだって」

「言ってんじゃねーか、てめえ!」

あっしまった、つい。

オレに向かってこようとした快斗が、わっと言って前につんのめった。スリッパがちゃんと履けてなくて足をとられたんだ。
前のめりに倒れ込む快斗を慌てて抱き留めた。

「快斗…?」

膝を着いた快斗の背中と頭を抱くように手を回すと、快斗もオレの背に両手を回して動かなくなった。

強がりやがって。
親父さんが恋しくてたまんねーんじゃないかよ。

背中をトントンしてやりながら快斗の髪をそっと撫でた。オレの腹に顔を押し当てた快斗がひくっと小さくしゃっくりあげる。

────やっぱり明日も快斗の部屋にはあげてもらえそうにないなあ…と思いながら、オレはしばらくそうして快斗の髪を撫でてやった。

自分が本当に幼い快斗の父親になったような気分で。

大切に、慈しむように。





20131229

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※長野県警大和警部とショカツのコウメイさんの組み合わせも、なかなか興味深いですわ~(^^;)

●拍手御礼!
「5000メートル」「ホワイト・マジック・クリスマス」「ダブルドリーム」「月光という名の真実」「ホスピタル」、さらに「ひとりごと」にも拍手を頂きました。恐縮です(^_^;) ありがとうございます!!

●拍手コメント多謝です♪♪♪
a様、コメントありがとうございます。いただいたお言葉、感激です!!  引き続き年越し妄想頑張りますので、是非またお越し下さいませ(#^_^#)///

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