名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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《痣(あざ)》(1/2)
(新快前提)白馬→快斗

9/28までアップしていた『拷問』のつづきになります。

――――――――――――――


「どうしたんですか黒羽くん、その顔」

日本に戻った週明けの月曜日、僕が半月ぶりに江古田高校に登校すると、黒羽が怪我をしていた。

黒羽は例によって『俺に近よんな』オーラ全開で、僕を一瞥すると一言も発することなくそっぽを向いて行ってしまった。
相変わらず素っ気ないが、いつもとは違う頑(かたく)なさを感じて僕は暫し考え込んだ。

一週間前の週末、キッドの犯行が予告通り行われた。Webニュースで読んだところでは、同時刻にすぐ近くで爆発事故が起き、キッド逮捕に集まっていた警官たちも急きょその爆発事故対応のために駆り出され、キッドは難なく逃走した――とあったのだが。



バッカみたい! と黒羽の幼なじみの少女は言った。
どっかの不良とケンカでもしてコテンパンにやられたんじゃないの? 職員室に呼ばれて先生にずいぶん訊かれてたけど、アイツったら『大したことありません』とか言って、全然理由を言わないんですって。よっぽど悔しいんじゃないかしら。

一気にまくし立てた彼女だったが、口調とは裏腹に黒羽の様子を案じているのがよく伝わってきた。
女性にこんなに気を使わせては、紳士とは言えないな……黒羽。

それにしても何があったのか。

正面から問いただしても、残念ながら黒羽が僕に本当のことを答えるとは思えない。しかし黒羽の正体を知っているクラスメート(の探偵)として、彼が傷を負い、それを多少なりとも引きずっているのであれば、力になりたい。そう思った。


「僕が力になれることはないかい」

「ない」

「待ちたまえ。……コラ、待てっ」

くそう。黒羽め。僕がぞっこんな事に気付いているくせに。

「黒羽くん!」

下校のタイミングを狙って話しかけたのだが、このすばしこい怪盗は僕の呼び掛けに見向きもしない。工藤には振り向くくせに。同じ探偵なのに、なんだか悔しい。

「その怪我は事件絡みですか」

「うっせーな。ついてくんなっ」

ムカ。

「そんなに急いで、工藤くんのところへでも行くんですか」

つい、頭に来て言わずもがなの事を口に出してしまった。
しかし、思わぬ反応があった。

立ち止まった黒羽は、向こうを見たまま「工藤の名前は二度と出すな」と言った。

―― おや? この反応は……。


もしかしたらチャンスなのではないか。

今の黒羽は、見た目の怪我だけではなく、どうやら他にも傷を負っているようだ。そしてその傷にとって、『工藤新一』は鬼門らしい。

しかし、いくら何でも工藤が黒羽をこんなふうに傷付けるとは思えないし、黒羽が(キッドが)そう簡単に第三者に捕まるとも思えないのだが――。

「左手はどうしたんですか」

黒羽はボクサーのように左手の甲を包帯で固めていた。朝から観察していたが、指先は動いているが力が入らない様子で、時々顔をしかめていた。

「テメエの質問に答える義理はねーよ」

そう言い捨てて僕の前を通り過ぎ、階段を降りてゆく。

これは――かなり探求心を呼び覚まされる状況だ。このまま行かせてしまうのは惜しい――。

僕は後をついて階段を降りたところで黒羽の腕をつかみ、戸の開いていた化学の準備室へ黒羽を引っ張り込んだ。

後ろ手に扉を閉じると、僕の手を振りほどいた黒羽と目が合った。
僅かに――ほんの一瞬だが、僕を見上げる黒羽の瞳が陰る。すぐにポーカーフェイスに戻ったが、むしろ不自然だった。

「汗をかいてますね、黒羽くん」

「……」

「僕が――怖いですか」

黒羽は答えず、唇をかたく結んでいる。

「僕が…君に狼藉を働くとでも?」

一歩踏み出すと、黒羽も一歩下がった。そしてくるりと背を向けると、奥にある教室につながるもう一つのドアから、黒羽は走り出ていった。

これはいったいどうしたことだ。

黒羽を追いかけて問い詰めたい衝動にかられたが、一方で今の黒羽をあまり追いつめるのはよくないと感じ、僕は校舎の窓から一人で下校してゆく黒羽の張り詰めた背中を見送った。




つづく


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