名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
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拷問 《4 疵(きず)》
(新快前提)XX→快斗
――――――――――――

(あっ…?)

……息が出来るようになった。突き飛ばされ、床に倒れ込む。

煙りが流れ込んでいることに漸く気づいた。

火災報知器のベルが鳴っているようだ。
男達は突然の火災発生に慌て、足手まといになる俺を捨てて去ったのか――?



工藤……ごめん……俺、だめだ……
もう、おまえに会いに行けない――。


スプリンクラーのシャワーに打たれ、俺の涙も、血も、汚れも流される。ああ。このまま俺も消え失せたい。永遠に消え去ってしまいたい――。



冷たい水に打たれ続け、体が冷え切ってガタガタ震えた。

しばらくして水は止まったが、起き上がろうという気力は皆無だった。火災は防がれたのだろうか――。サイレンもざわめく気配も聞こえない。

……足音。廊下に人がいる。

消防士か…?

我に返った。何やってんだ、俺。

一刻も早く、何事も無かったように此処から立ち去らなければならない。こんな所を誰かに見つかって警察に通報でもされたら、男達の責めを耐えた意味がなくなる。
俺も結局のところ、男達とは同じ穴の狢(むじな)ということだ。
情けない――。


散らばっていた気力を必死に拾い集め、体を起こした。
体中が痺れて痛い。左手は感覚がなかった。動かなくなったらどうしよう、と不安になる。動けっ。
…僅かだが左手が動いた。ほっとする。

部屋の片隅でびしょびしょになっていた衣類を取って身に着けようとするが、焦っているせいもあってなかなか上手く着られない。

いったん遠ざかった足音が、また聞こえてきた。今度は間近まで寄ってくる。



『快斗ー!』



――息が…止まるかと――思った。



聞き間違えるはずがない。


工藤の声、だった。

いったい…どうして……?!


「快斗! どこだっ!!」


鼓動が跳ね上がり、手が震えた。

見られたくない。こんな姿を。

凍りついたように息を潜め、ドアを見つめた。

(……!)

水が――。

俺の体を洗い流した、汚れて薄く色付いた水が、ドアの下から廊下に流れ出ていた。

まずい――

ドアの鍵をかけようと手を伸ばした。だがそれより一瞬はやく、ノブが回って勢いよくドアが開いた。

目の前に工藤が……工藤が立っていた。


工藤も俺を見て絶句している。


こんな、ボコボコにされて、半裸の俺を――


「バカ野郎! 聞こえてたんなら、なんで返事しねえっ」

激しい怒声に、俺は半歩ふらつくように後ろに下がった。首を振る。

頭が痛い。
眩暈がして、耳を押さえた。立っていられなくなり…俺はガクリと膝を着いた。



―――――――
拷問 《5 エピローグ》へつづく

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