名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
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ホワイト・ラブ(新快前提 白馬→快斗)

――――――――――――――――

黒羽くん、僕が本気で君が欲しいと言ったらどうしますか。

――と白馬がマジ顔で言った。

放課後。さっきまで数人のクラスメート達や、幼なじみの少女も一緒に教室にいたはずなのに。

いつの間にか二人だけになっていた。現実感が伴わないのは急速に訪れた落陽のせいだろうか。
白馬の表情の半分はオレンジに色付いて、もう反面に濃い影を落としている。

「黒羽くん、僕が本気で君が欲しいと言ったらどうしますか」

「……断る」

「ちゃんと意味を理解した上での返答ですか」

「意味が違ってようが何だろうが、とにかく断る」

白馬が小さく肩を竦め、首を振る。

「今となっては工藤くんは君に近くなりすぎて、むしろ互いが足枷になっているのではないですか」

「…………」

ふふ、と白馬が甘く微笑みを浮かべて一歩二歩と近付いてくる。

じわりと背に汗が浮くのを意識しながら、それでもポーカーフェイスだけは守って後ずさることなく白馬の視線を跳ね返した。

「無理はいけませんね。この間のように突然糸が切れたように倒れてしまうのではないですか」

俺の弱みをあえて問わずにジワジワ攻めてきやがる。俺が決して白馬に対し打ち明ける事がないとわかっていて。

「見た目の疵は癒えたようですが、どうやら本当の〝棘〟は別のところに深く刺さったままのようですね。――その棘を、僕が抜いてあげましょう」

「さわんなっ」

伸ばされる白馬の指先。その向こうの白馬の一見優しい眼差しを睨んで拒絶した。

「逃げますか? 背を向けて、いつかのように。この僕から」

「…………」

「それとも脚が竦んで動けませんか」

「勝手に勘ぐってろ」

わざとらしく目の前に白馬が立ち塞がる。

「これまで警告に留めてきたのは、あくまで僕の意志です。いつだって君を落とそうと思えば簡単に出来たんですよ。君は――君が自分で思っているより」

カバンを取ろうとした右の手首を掴まれる。

「…放せよ」

「残念ですが、今日は逃がしません」

「白馬……いーかげんにしねーと、そのニヤケ面に痣作ってやるぜ」

「物騒ですね。僕はあくまで紳士的に申し入れしているのに」

「どこがだよ。手ェ放せ!」

しかし振り解こうとした白馬の手の力は驚くほど強く、俺は一瞬で恐怖に囚われた。白馬が――本当に怖くなった。

「……!!」

多い被さるように目の前に影を落として迫る白馬。
喉から――悲鳴が出そうになる。



ガツッ。

「うわっ……!」

目から火花が散った。
額に受けた強い衝撃に僕は思わずふらついて頭を抑え膝を着いた。

黒羽は床に落ちていた自分のカバンを拾い上げるとあっという間に姿を消した。


――そしていつもの如く、僕一人が取り残された。

それにしても痛い。
まさかこの僕に頭突きをかますとは……。呆れたよ、黒羽くん。

溜息をついて暗い色に変わった教室の天井を見上げた。

―――早く元の本当に溌剌とした君に戻ってくれたまえ。でないと僕も落ち着かない。

何故か目から涙が零れた。ズキズキ脈打つ、この額の痛みのせいだ。僕は自分に言い聞かせて目を閉じた。




20120102





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