名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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暗号(新快前提 白馬→快斗)


※白馬くん視点です。

――――――――――――――――――


しばしの平和な日々が続いていた。

黒羽は遅刻も居眠りもすることなく毎日きちんと登校し授業を受けていた。

クラスのイベントではマジックを披露して拍手喝采を浴びたり、助っ人を頼まれては運動部の活動に参加したりして、少々目立ちすぎるくらいの日々を送っていた。
僕はそんな黒羽をただ眺めていた。
掃除当番が一緒だったり、科目によっては席が近くなったりする時以外に言葉を交わすことも特になかった。

そんなある日『怪盗キッドの新たな予告状が届いた』というニュースが唐突に駆け巡った。
そして僕には某美術館の館長をしている父の旧友という人物から、直接そのキッドの予告状の暗号を解いて欲しいという依頼が舞い込んだのだ。
僕は――探偵として胸が湧くと同時に、怪盗キッドである黒羽への想いに挟まれて――正直なところ困惑した。
以前だったら勇んでキッドに勝負を挑んでいたはずだが、もはや僕の心の内は〝キッドの側〟に寄り添ってしまっていた。

僕は……その父の知人からの依頼を辞退しようかと思い始めていた。


工藤は。
彼はこれまでこんな板挟みのような思いに囚われたことはないのだろうか。キッドの正体を知って、なおかつキッドである黒羽と想いを通わせていながら、黒羽自身である〝怪盗キッド〟を追い詰めるような事が果たして出来るのだろうか。

僕が、単に甘いだけなのか。


登校してきた黒羽は変わった様子もなく普段通り授業を受け、皆と過ごし、終業時間を過ぎると帰り仕度を始めた。幼なじみの彼女に何か話して、先に帰らせている。

もしやこのあと何か(下見もしくは準備等の工作)をする気なのかと思い、僕は試しに黒羽にカマをかけに近づいた。



黒羽は僕に気付いていながら近寄る僕の方を見ようともせず、教室の扉の方へ鞄を抱えて歩き出した。

「黒羽くん、少しいいですか」

「なんだよ」

「今日の授業で解らないところがあるので教えて欲しいのですが」

「は? なんで俺に。センセーに訊きにいけって」

「黒羽くんの方が分かり易く教えてくれそうですから」

「やだね」

「クラスメートが頼んでるのに冷たいな」

「よく言うぜ」

やっと向き直った黒羽が僕を見上げて溜息を吐く。

「なんか用があんならハッキリ言えよ」

「はっきり言ったら困るのは君の方では?」

「なにがだよ」

「今度の〝怪盗キッド〟の予告状――その暗号解読の依頼が僕にきたのです」

「へーえ」

「ですが、僕はその依頼を辞退するつもりです」

黒羽の表情は変わらない。鉄壁のポーカーフェイスというところか。

「解読する自信がねーから?」

「違います」

「だったら引き受ければいいじゃん。解いてくれなきゃ、キッドも暗号出した甲斐がないだろ」

「…………」

「それにさ」

「なんです」

「その予告状、本物?」

「えっ」

「ただのイタズラかもしんねぇぜ」

「どっちなんです」

「知るかよ! 俺キッドじゃねえし。んじゃな~」

僕が惑わされているうちに、さっさと黒羽は廊下へ姿を消してしまった。


どういう意味だ。

逃げないで暗号を解いてみせろと言っているのか、それとも偽物だから相手にするなと言っているのか。



僕は帰宅し、昨夜依頼と同時に届いた予告状のFAXを前に考えていた。

黒羽の瞳。最後にチラと僕を仰ぎ見た時の瞳の奥にあったものは……。

そもそも暗号は解読させることを前提に作られている。解き明かして、相手に意図を伝わらせてこその〝仕掛け〟になるのだ。

やはり本物だ。僕はそう判断した。

そして黒羽は、いや怪盗キッドは、予告状の暗号を解いてほしがっている。
予告内容が外部に漏れることを嫌い、暗号にする事で関係者だけに内容が伝わるようにして、怪盗登場の舞台を整えようとしているのかもしれない。

いいでしょう。君がそのつもりなら、遠慮せずに僕は探偵として依頼主の期待に応えてみせよう。

今回は工藤探偵の出番はない。

僕は目の前のFAXを手に取り、キッドの予告の文面を読み返した。

そして、謎解きの面白さに没頭していった。






20120125

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