名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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シークレット・トライアングル《2/2》(新快前提 白馬→快斗)

※拍手コメント下さった瞳さん、ありがとうございます! おかげでがんばれました! なのにこんなんなってスミマセン~。(@@)"

――――――――――――――――――

俺は迷っていた。

どこかで……白馬を失いたくないという気持ちが芽生えていた。


放課後、俺は校庭の片隅にある桜の木の下でただぼんやりしていた。帰宅するつもりでいたのだが、ふと立ち止まったらなぜだかそこから動けなくなった。

自分の気持ちを掴めず、工藤に逢いに行くことも避けていた。
何をするにも集中できず、はっきりしない自分の気持ちを持て余していたのだ。



遠くで歓声があがった。

野球部が紅白戦をしている。


『おーい! あぶねーぞ!』

『黒羽! 避けろーっ!!』


振り仰ぐと、丸い影が黒く大きくなって眼前に迫っていた。


ボール。野球部の……


時が止まっているように感じた。

音もしない。





『わぁ!』


『たいへんだ!!』


『黒羽!』


『白馬!!』




え……?




視界が塞がれ、背中と腰が痺れていた。地面に寝転んでいる自分に気が付く。
俺の頭を抱えるようにして覆い被さっているのは―――



『白馬すげえ! 大丈夫かよ?!』


『黒羽は?』



体を起こした白馬と目が合う。

俺を見て……微笑む。


「大丈夫ですか、黒羽くん」


白馬の額から血が流れていた。











白馬が俺に飛びついて一緒に倒れ、打球の直撃から俺を守ってくれたのだ。

幸い俺も白馬の怪我もたいしたものではなかった。しばらくは騒然としていたが、野球部の紅白戦はそのまま続行された。






「……なぁ、ホントに保健室行かなくてよかったのかよ」

「だだの掠り傷ですから」

白馬の怪我は倒れた勢いで地面に額を擦って出来たものだった。洗って土を落としただけで、いま二人で並んで歩いていた。帰り道の通学路を。

「あんなところでぼんやりして。気が付いてもとっさに避けられないなんて、君とは思えないですね」

「…………」

本当にそうだ。なんで避けられなかったんだろう。
見えていたのに体が動かなかった。

「下手をすれば怪我どころではなかったかも知れませんよ」

「うん……。本当にありがとう、白馬」

申し訳なさと、原因となった〝引け目〟に、横を歩く白馬の顔が見られない。

「ふふ。今日はやけに素直ですね。僕にとっては良い日です。君との思い出ができましたから」

「…………」

「黒羽くん、僕はね」

「…………」

ドキリとする。何を告げられるのか。

車が脇を通り抜け、白馬が一歩俺に近寄った。

「僕はね、黒羽くん――――」

再び名を呼ばれ、俺は顔を上げて白馬を見た。いつもの白馬の微笑み。どこまでも俺を甘やかすような。

「ま……いいでしょう。また機会はあるでしょうから」


何を言いかけたのか。

なんだよ、ちゃんと言えよ、と以前なら普通に問い返していただろうが、今はそれができなかった。
ほっとする自分の身勝手さに胸を衝かれながら、それでも俺は言葉を発する事が出来ずにいたたまれぬ思いでただ歩いていた。


「あ、迎えがきました。乗りますか? 家まで送りましょう」

「いらねーよ。白馬こそ頭打ってんだから早く帰れよ」

「そうですか。…ではまた。黒羽くん」


黒塗りの乗用車に乗り、白馬は去っていった。



俺は、明日も明後日も学校に行けば白馬に会えると思っていた。

しかし、翌日から白馬は学校に来なくなった。

またしばらくイギリスで過ごすことにしたと―――復学の時期は未定だと、後から俺は知った。


なんだろう、この気持ちは。

まるで知らない場所で迷子になり、置き去りにされた幼子のようだ。

心に隠したトライアングルは、その一辺を失い囲いが外れ、すうすうと風が吹き込むようになった。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・



少しお互い距離をおいた方が良いのです、黒羽くん。

僕が気持ちを抑えられなくなる前に。無用な負い目に君が君らしさを忘れてしまわぬうちに。


君が好きですよ――。僕はいまこの瞬間も。

出来ることなら君の近くにいたい。しかしそれでは君も僕も前に進めない。そんな気がしたのです。

いずれ戻ってきます。それまで工藤くん以外の誰にも捕まってはいけませんよ。彼以外の者にまで君を浚われてはたまりませんからね……。


また会いましょう……黒羽くん。怪盗キッド。
〝Kid The Phantom Thief〟―――。






20120309

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