名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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甘い誘惑リターン(新快前提 白馬→快斗)
※少しばかり久々なカテゴリです(汗)。タイトル変でスミマセン。
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  僕は満足した。彼の反応に。

  彼────黒羽快斗が朝の教室で僕を見つけた時の顔といったら。

  快斗ぉ~よかったねぇ、白馬くん帰ってきて。仲良しだったもんね!

  幼なじみの少女にそう振られて、黒羽は顔を赤くして否定していた。ふざけんな誰がだよっ、とかなんとか。ふふ。

   本当は再会を祝して直接挨拶でもしたいところだが、たのしみは後にとっておこうと思い直し、僕は素知らぬふりをして自分の席に着いた。
  二ヶ月近いブランク。久しぶりに開く日本の教科書は、毎朝読む英字新聞より読みにくかった。


   あの日、僕はいったん身を引いた。黒羽の前から。
   煮詰まりつつあった僕らの関係を……いや、僕自身の募る想いを抑えきれずに、ギリギリ保っていた均衡を崩すことを怖れて、僕は自分の意志で日本を離れたのだ。

   以前のように英国で過ごせば、〝彼〟と遠く地球の裏側へと離れれば、膨らみきった想いもやがては抜け、僕は僕の進む道を切り拓ける。そうも考えた。

   結果、僕はこうして日本に舞い戻ってきた。予想よりもずっと早く。数年は戻らなくても構わないつもりでこの場所を離れたというのに。
   戻ってきてしまった。

   つまり僕は、僕の想いを裏切ることが出来なかったのだ。たとえ報われないと解っていても、消し去ることが出来ない想いも有るのだと……。そんな相手に出逢えた事こそが何よりも大切なのだと、その想いを認めた時、僕は日本に戻ることを決めた。
   いま〝彼〟のそばに居なければならない。それが僕の宿命だと思い知ったのだ。

   僕は黒羽快斗を愛している。

   彼が〝怪盗〟であり、日本の高校生探偵・工藤新一との間に決して他人には明かせぬ深い契りを持っていると知っていても。







「黒羽くん、君は相変わらず逃げ足が速い。帰国の挨拶くらい、きちんとさせてもらいたいのですが」

「いらねーよ、んなもん」

   終業のチャイムと共に廊下に出て張っていると、案の定、間もなく黒羽が教室から飛び出してきた。
   ダダッと僕の前を横切ろうとするのを、腕組みしたまま足をちょっと出して引っ掛けた。

ずでーん!!

   驚くほど素直に引っ掛かった黒羽は、とても〝怪盗〟とは思えないズッコケ具合で廊下にぶっ倒れた。

「あははは」

「・・・ってえ! 白馬っ、てめーっ!」

   ひっくり返った黒羽が手を着いて僕を見上げる。輝く瞳の大きさに吸い込まれそうだ。

「失礼。しかし君とは思えない失態ですね。こんな簡単に引っかかるとは」

「ばかやろ、ふざけんな! ケガしたらどーしてくれるっ」

「〝仕事〟に差し支えますか」

   僕の言葉に一瞬怯んだ隙を逃さず、僕は転んだままの黒羽に近付き、きょとんとした顔をした黒羽に微笑みかけ────ひょいと抱き上げた。

   ぶっぶっぶぁかっ、なにすん、降ろせっ、とジタバタする黒羽はとても軽く、堪らなくかわいかった。

   保健室に連れて行くまで、僕は決して彼を降ろさなかった。終いにはぐったりと力を抜いておとなしくなってしまった黒羽を抱えて、長い廊下を多くの生徒たちに振り返られながら僕はゆっくりと歩き続けた。

 チクショーおぼえてやがれ、白馬!

   そう言って精一杯の虚勢を張った黒羽に、僕はにっこりと微笑みを返した。








20121122


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