名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
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生け贄《4/4》(XX→白馬×キッド)
※テレビアニメ版スパイダーを絡めたパラレルです。
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スパイダーに喉を鷲掴みにされ、抑え込まれる。

スパイダーの持つ長い針が、モノクルに覆われていない俺の左目を狙っていた。

鋭く尖った針先が瞳に迫る。

俺は手で上着を二度叩いた。

バサバサバサッ────!!

「な、なんだ!?」

驚いたスパイダーが体を起こす。
二羽の鳩が勢いよく飛び出し、スパイダーの周りで慌ただしく羽ばたいた。
針を持つスパイダーの手をすかさず弾く。スパイダーの指から針が飛び、カチリと細い音をたてて屋上に転がり落ちた。
鳩たちが夜空に舞い飛んでゆく。

「ふざけた真似を…!」

「可哀相に、さっきの電撃で鳩がパニックを起こしていたようです」

「そこまでだっ、スパイダー!!」

「…チッ」

小さく舌打ちしたスパイダーが、俺の首を抑えたまま背後を振り返る。
白馬だった。手に拳銃を握っている。

「キッドから離れろ、スパイダー! 従わなければ撃つ!」

白馬が威嚇しながら近づいてくる。

「ふん…また邪魔か。仕方ない─────では〝約束〟だ、怪盗キッド」

スパイダーが俺を見下ろす。
はっと目を閉じた。だが僅かに遅かった。
赤く瞬く光が網膜に焼き付く─────。

スパイダーの体の重みが消えた。

起き上がって自分の両手を見る。
光の残像で眩暈がしたが、他に異常は感じない。

スパイダーはすでに屋上の突端に移動していた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「スパイダー、待てっ!」

「おまえのおかげで興が殺がれた。出直すとしよう。愉しむ時間は十分あるのだからな」

「動くな、本当に撃つぞ!!」

「白馬よ…勘違いするな。今夜おまえが私の悪夢を破ったのは偶然に過ぎない。いずれおまえにもハッキリ思い知らせてやる」

スパイダーの肩を狙う。トリガーを絞った。
しかし、スパイダーは嘲笑うように平然と僕に背を向けた。


「…………」

スパイダーの姿は目の前から消えていた。

気が付くと、構えた拳銃の銃身を白い手袋の指が掴んでいる。

「キッ…ド……」

「スパイダーは去りました。また助けられましたね。…ありがとう、白馬探偵」

「…………」

汗が冷たい。

トリガーを引いたつもりだった。だが…結局撃てなかったのか、僕は。
スパイダーを捕らえるチャンスだったというのに。

トリガーから外そうとして、指が硬直していることに気付く。

「白馬探偵?」

「情けない。射撃経験はあっても、いざという時にこれでは…!」

「あの状況で撃っていれば、スパイダーは落下して死んでいたかもしれません。たとえ相手が暗殺者でも、人を死なせるような責をあなたが負うべきではない。撃たずによかったのです」

「しかし………」

「簡単に人を傷付けるような人間に、人は守れません」

「キッド…、僕は…」

白い指先が僕の頬に添えられる。近付くモノクルに僕が映っていた。
唇に柔らかいものが重なる…。

温かい─────。

僕は夢中でキッドを抱き締めた。
強く。
さっきまでの出来事が頭の中を駆け巡る。僕は今さらのように震えを抑えることが出来なかった。


サイレンの音に我に返ると、抱き締めていた怪盗がするりと僕の腕を抜け出すところだった。

キッドが駆け出す。
屋上を走ってジャンプし、街の上空へと飛び立ってゆく。

思わず手を伸ばした僕の耳に、シャラリという音が響いた。首が重い。何かが揺れていた。
キッドが盗んだはずの王家の首飾りが、僕の首に掛けられていた。

「キッド!!」

飛び立つ瞬間、キッドは半身を翻し僕に敬礼をした。
また逢おうとでも言うように。




展示会場に戻り、憮然と指示を飛ばしている中森警部に首飾りと警官から拝借していた拳銃を返した。
中森警部は拳銃が発砲されてない事を先に確認し、それから首飾りを受け取った。半分ほっとしたように、半分忌々しげに僕を睨みながら。

思った通り中森警部はさっきまでバックヤードの一室に眠らされ、閉じ込められていたという。
スパイダーが現れる前に僕と会話を交わし、操られた警官達に襲われた警部は、やはりキッドの変装だったのだ。

僕を〝坊ちゃん〟と呼んだのが彼だったとは…。
僕はこめかみを指で押さえ、ため息を付いた。キッドのキスが、僕への詫びだった事にようやく気付いたのだ。
計ったものではないにしろ、今夜スパイダーへの〝生け贄〟に、僕は供されたのだ。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





ホテルでシャワーを浴び、バスローブに身を包んで私は窓からTOKYOの夜景を見下ろした。

今回の公演会場の見取り図と、舞台設計デザインにもう一度目を通す。
日本での公演はこれから二週間に渡って続く。

愉しみは最後にとっておこう。そのための〝約束〟なのだから。

邪魔が入らぬよう。
キッドと二人きりで過ごせるよう、取り計らうとしよう。
それまで私との〝約束〟に、徐々に縛られてゆくのだ…、密やかに。確実に。

グッナイ、怪盗キッド。

よい夢を…。




20130423

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※うう、お粗末様です。なかなか思うように描写できず…(@@);; そして結局カテゴリ別に作っちゃいました。

※蛇足な補足:鳩さんたちはショックで固まっていたところ目覚めて飛び立ったわけですが、あの後きちんとキッド様に保護されたはず……です(^^;)。


《ひとりごと》
映画『絶海の探偵』、そーいうイミだったのかぁ、と感心納得でした。コナンくんスケールでか過ぎ、とは私の甥っ子の名言。高校生の新一がカッコ良くてちょっとドキドキしちゃいました♪♪
あのぉ~、でも早くキッド様をまた映画に出して欲しいんですけどもぉー(>_<)?!

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