名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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金色の絲《1/4》(スパイダー×キッド)
カテゴリ☆呪縛
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〝Welcome to my great illusion !!〟

スパイダーの歓迎の声が響く。

幻の世界は果てのない荒野だった。

黒い空。濁った色の草木。

すべてが沈んだ世界の中で、キラキラと煌めているのは禍々しく巨大な蜘蛛の巣の絲だった。
幾重にも張り巡らされた金の絲は、それ自体はとても美しく光り輝いて見える。

そしてその巣を背に、宙に浮かび微笑んでいるのは金髪碧眼の青年。正装した世界的イリュージョニスト、ギュンター・フォン・ゴールドバーグ二世。
奴が〝殺し屋スパイダー〟……。

「ようこそ私の悪夢へ。怪盗キッド」

名を呼ばれ、引き寄せられるように踏み出した足が草にとられてぐらりと揺れた。
今のは奴の肉声か。それとも俺の頭の中で響いているだけなのか。判別がつかない。
ただ怪盗の誇りにかけて見苦しく怯えを表すことだけはすまいと─────奴の罠に嵌まってゆく自分を意識しながら、真っ直ぐに奴を見詰め返した。

感覚がおかしい。
まだ相当の距離があるのに、差し出された奴の手は俺のすぐ目の前まで伸びてきて、ぐにゃぐにゃと歪んで形を変えた。
白い肌をした人の手から、巨大な蜘蛛の歩脚へと。

尖ったその爪先が閃き、シルクハットが弾き飛ばされる。



俺は…何をしているんだ。

おめおめと、スパイダーに喰われに来たのか。

そうじゃない。俺は。

俺は……!





・・・・・・・・・・・・・・・・・・




トランプが私の頬を僅かに掠めた。
少しおいてヒリッと痛みを覚え、それが私を逆上させる。

悪足掻きも甚だしい。
絲を束ねた鞭を振るい、私はキッドの手からトランプ銃を叩き落とした。
続けざまに返してキッドを強く打ち据える。二度、三度。

キッドの右目からモノクルが外れ、年若い少年の素顔が現れた。さらにその頬を打つと、口の中を切ったのだろう…唇から一筋の血が流れ出た。
温かそうな鮮血に思わず目を細める。

ふらつきながらかろうじて立っているキッドを、私は金色の絲で絡め捕っていった。
右腕、左手首。もがこうとも逃さない。さらに右脚、左脚、そして喉を。
手間をかけ陥れた今宵の獲物を、ようやく蜘蛛の巣の中心へと引き摺り上げた。

なかなかにしぶとい。それだけに手に入れた悦びは大きい。
縋るように私の元を訪れると思っていたが、まだ抵う気力を残していたとは。
しかしそれも終わり。
こうして捕らえてしまえば、後は私の好きに喰らうだけだ。

目から? 喉から?
それとも。

身に纏う白い衣を解き、私の毒を体の芯へと注ぎ込み…内から冒して苛もうか。もだえ苦しみながら、やがて息絶えてゆくその様をじっくりと眺め慈しむのもよい。

キッドが暴れ、ギリ、と絲が絞まる。
私は忍ばせていた小瓶を取り出しぐいと一気に呷った。
目を霞ませ私を睨む強情な獲物に近付き、動けぬその顎を掴んで口付ける。覆うように。

ごくりとキッドが喉を動かすのを確かめる。
噎せった口から溢れた赤い液体が、先ほどの鮮血と同じように頬を伝い落ちてゆく。目の前で細い喉が震え、私の食欲を強く刺激した。

「なに、を…飲ませた」

「ふ。まだ正気を残しているのか。すべて私に任せて楽になればよいものを。おまえもどうせ喰われるのなら、少しでも愉しく喰われたいだろう?」

唇を噛んだキッドの頬が見る間に朱く染まってゆく。
特製の赤ワインだ。少量でも効きが早い。それだけ無垢で新鮮な獲物というわけだ。
私は微笑んだ。

「もどかしかろう。触れて欲しいと請うがよい」

巣に括り付けたキッドの肌を暴いてゆく。露わになった滑らかな肌に指を添えると、途端に粟立つ敏感さ。
捕らえた獲物の予想以上の美しさに常ならぬ高ぶりを覚え、私は息を呑んだ。

「キッド…おまえが歓喜に咽ぶ、その時こそおまえの最後となる。今宵こそ」

今宵こそ、邪魔は入らない。

金の絲に戒められて喘ぐキッドを腕に抱き、私は蜘蛛に姿を変えた。





金色の絲《2/4》へつづく

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※タイトル〝こんじきのいと〟とお読み下さい…(*_*;


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「Third time lucky」★こういうこと
「幻の境界」☆呪縛
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