名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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◎年末ぷち白快SP◎
メビウスの月(白馬×キッド)
カテゴリ☆噂の二人《番外編》
※白馬くん視点。
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凍える夜。冴えた夜空に白く浮かぶ半月を、僕は自室の窓から見上げていた。



こんな夜は思い浮かべる…白い姿の怪盗を。僕の恋人である彼の〝もう一つの姿〟を。

もし僕が彼にとっての禁忌の扉を押し開けようとしたら、どうなるだろうか。
手に入れた想いを、僕は失うことになってしまうのだろうか。

「黒羽くん…、どうすれば僕は真に君の力になれるだろう?」

そしてまた答えのない堂々巡りの輪に陥る。
この無限の輪を抜け出すためには、僕は今よりもっともっと〝力〟を付けなければならない。
何があろうと、何が起きようと、君が君自身を見失わないよう。無闇に彷徨わぬよう。君を護り通せるだけの〝力〝を。


「…頭を冷やそう」

英国の友人へ向けたメッセージを打っていたのに、気付けば月を見上げて溜息ばかり付いていた。
家の者に見つかると心配するので、僕はこっそり裏門から外へ抜け出した。


昨日の雨が路面に残り、早くも凍り始めている。夜道は所々街灯を映し白く煌めいていた。


───逢いたい。


足が勝手に彼との思い出の場所を目指している。彼がいるはずもないのに。

電話してみようかと思いながら、それも出来ない。こんな中途半端な気持ちで深夜に君を呼び出すほど、僕は身勝手にはなれない。

どうしているだろう。
もう布団に入って眠っているだろうか。もしや次の〝仕事〟のために何か企てているのだろうか。
よもや危ない真似をして、どこかで独りうずくまり動けなくなってはいないだろうか…。

急に不安になる。
一度よくない想像をすると、後はどんどん悪いことばかり考えてしまう。

もし、彼を失ったら…。

そんな事まで想像し、交差点の赤信号で立ち止まった僕は振り払うように首を振った。





四、五十分ほども歩いて、結局来てしまった。いつか彼と演劇の稽古のあとに訪れた河原の堤防。
ここは彼の家に向かう途中にある。ここを越えたら、もう彼の顔を見ずには戻れなくなってしまうだろう…。

気は済んだ。帰ろう。

僕は踵を返した。

大丈夫、彼は無事だ。僕が心配することなど何もない。人に助けを請うことなど彼は考えもしないだろう。
言うなればこれは僕の〝片想い〟なのだ。
ただ僕が淋しいだけ。
僕がいなくても平気な彼を恨めしく思う気持ちの裏返し。頼って欲しい、僕を求めて欲しい、僕に逢いたいと思っていて欲しいという─── 一方的な願いに過ぎない。





〝ふぁさ〟


衣擦れの音がした。


堤防の上から。


「こんな凍てつく夜に何をなさっているのです、白馬探偵」


「………」

どきりと大きく胸が鳴り、歩き回り温まった体が熱くなる。それでも手足は冷たく、頬も強張って声が出ない。

月光を背にこちらを見下ろすシルエット。

揺れるモノクルの紐飾り。

緩やかにたなびく長いマント…。


「…み、こそ…、なぜ……」

上手く話せない。
頭がぼうっとして、幻かと疑う。

「おそらく、白馬探偵と同じです」

「………」

同じ…?

「怪盗が探偵に逢いたいなんて、可笑しいでしょう? でも、そう思えば思うほどじっとしていられなくなってしまって」

「キッ…ド…」

「頭を冷やそうと、夜空を一っ飛びしてきたところです。まさかここであなたにお逢いできるとは───」

僕はぎこちなく腕を伸ばした。
脚は固まってしまったように動かなかったから、キッドに向けて懸命に手を伸ばした。

怪盗は小首を傾げると、小さく笑ったようだった。
そしてマントを翻し、あっと言う間に僕の目の前に舞い降りた。

微笑む怪盗の瞳は、僕の大好きな〝彼〟の瞳に間違いなかった。
僕は夢中で怪盗を抱き締めた。

僕の大好きな、僕の…恋人を。






20141230
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※ひゃーあっという間に年末! ◎ぷちSP◎なんて小見出し付けましたが残り明日しかないじゃん~という自分で首締め(>_<)。出来ればあと一つ、ショートでもいちゃラブ白快upしたいです。
…それにともなって年内にと言っていた『リバース』フォロー編は年始に繰り越しで(汗)。言い訳長くてすみません!
※それにしても アニメまじ快1412、白馬くん出番少なくないですか…(+_+)?

●拍手御礼
「ドリームキャッチャー」「フェアリー・ナイト」「クリスマス・ツリー」へ、拍手ありがとうございました!(^^)!

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