名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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アフタヌーン・スカイ(白馬×快斗)
カテゴリ☆噂の二人
※前回『フラストレーション』の補足っぽい感じで、あまり進展はありません…(汗)。
─────────────────────────────

どうしよう。

メチャクチャ顔を合わせづらい。白馬と。


白馬の部屋でとうとう〝あんな事〟をしてしまって……次に逢う時どんな顔していいのか、ただでも分かんないでいたのに。

あのあとすぐ寺井ちゃんが新たに来日するビッグジュエルの極秘情報を掴んで知らせてくれたんだ。
〝地球の奇蹟〟と呼ばれる真紅のダイヤモンド。その展示開催権を競っていた幾つもの美術館の中から、S美術館が権利を得たんだって……。

S財閥といえば、これまでならあの声のでかいハゲマユゲ爺さんがキッドへの挑戦を兼ねたド派手な宣伝を打っていたに違いないけど、今回は違った。異例中の異例と思える短期間に、秘密裏に開催準備が進められていた。
あれは、間違い無く高校生探偵・工藤新一の指示だ。
外部への情報を抑えることで〝場〟に適した効果的なマジックを予め用意させないようにした。それでも必ず怪盗キッドが現れると踏んで────。

まあ、おかげで俺の方は白馬に隠れて準備を進めることができたんだから、ある意味助かったんだけど。白馬にまで邪魔されてたら、たまったもんじゃない。

それでも昨夜の工藤との勝負は、やはり際どかった。キッドに盗めないもんはないってことをきっちり証明してやったけど…。
深夜になってようやく雲間から覗いた月に〝地球の奇蹟〟をかざしたてみたけど、中には何も現れなかった。探していたジュエルでは結局なかった。しつこく後を追ってきた工藤に、俺はジュエルを投げ返した。

工藤新一、か。
翼を広げて飛び去る間際、風に半分かき消された工藤の声が切れ切れに聞こえてた。
〝キッド、おまえは・・・なのか〟って。
なんて言ったんだろう。工藤のやつ。
俺になんて呼びかけたんだろう……。





「………?」

目の前が暗くなる。ふっと覆い被さる気配。

「こんな所で寝てないで少しでも早く帰って休めばよいでしょう」

「は…、白馬!」

眠かったけど、まだ気持ちが高ぶったままでウトウトしていた俺は、突然目の前に現れた白馬に慌てて体を起こした。

───そっか、学校にいたんだ。

ここは屋上……日陰になった縁の隅っこに寝ころんでたんだ。

腕を掴まれ、白馬に引き起こされる。
うう。間近で人の顔を凝視すんなっ。

「昼休みはとっくに終わってますよ。君の姿が見えないので、こんなことだろうと思って探しに来たんです」

「じゃ、じゃあ、早く行かないと───」


あっ。


白馬の匂いに包まれる。


温かくて広い白馬の胸に抱き締められて……体を支えられて、なんだかホッとして体の力が抜けた。
ぼうっとする……。
このまま身を任せていたくなってしまう。

( ……って、ばか、ここ学校だって!)

焦って離れようとしたが、白馬はがっしりと俺を抱え込んでて逃げられない。

「お、おいっ、放せって。早く授業に」

「居眠りしてるなら授業に出たって同じじゃないですか?」

「うっせーなっ、ちゃんと授業受けるよ!」

白馬が『どうだか』と言って笑う。クスリと笑った白馬の吐息を耳元に感じてドキリとし、急に体が熱くなった。

「君は本当に油断ならない」

「なにがだよ」

「どうやら、ようやく黒羽くんに逢えたようですね」

「え……?」

白馬の腕の力が少し緩み、俺は顔を上げた。
ペン!
白馬の長い指先に、とたんに鼻先を弾かれる。

「テッ! 痛ってえな、なんだよっ」

「いまのは序の口ですよ。散々僕を焦らせた罰です。今夜こそ絶対に逃がしませんからね」

「……今夜行くって言ってねえし」

「来ないつもりですか」

「いや……だから……」

「だから?」

「昨日は……ゴメンって」

白馬が大きくため息を付く。

「ゴメンで済ませるつもりですか」

「し、しかたねえだろ。だって昨日は…」

白馬に睨まれて、つい目を逸らせた。
隠し事を常とする後ろめたさはある。仮に白馬が探偵でなかったとしても。

「君に袖にされて、僕が昨夜どんな思いで怪盗キッドのニュースを見ていたか考えてごらんなさい」

「…………」

「工藤新一が知っていた事件を、そばにいる僕が知らなかった」

「それは……」

「君はこの二週間、黒羽快斗の振りをした〝怪盗キッド〟だったんですね」

「…………」

「なのに、僕は君に避けられている理由が分からなくて一人やきもきしていた。滑稽で、情けないです」

白馬が俺を放す。
どこか遠い目をして俺を見ながら、一歩、二歩と俺から遠ざかる。

「白馬……」

「僕は〝黒羽快斗〟も〝キッド〟も、同じ君だと思っていた。だけど違ったようだ」

「白馬……?」

「僕は……それでも君が好きなんです。君の存在を───追い求めずにはいられない」

「…………」

白馬がくるりと背を向け歩き出す。

「先に教室に戻っていますよ」

「───白馬!!」

不意に〝喪失〟の恐怖に囚われ、俺は白馬の背中に飛びついていた。

「そうじゃねえ、白馬! ごめん…俺、どんな顔していいか、ホントに判んなかったんだよ……あれから」

「…………」

「それに……おまえに〝シゴト〟のこと知らせるわけにいかねえよ。いくら……好きでも」

矛盾が生じてしまう。探偵を怪盗の共犯者にするわけにはいかない。

「……では……今夜来てくれるのですか。僕の部屋へ」

「行くよ。俺だってホントは白馬に逢いに行きたかったんだ……ずっと」

「ふふ」

「…………」

「上出来です。照れ屋の君に心の内を明かさせるのはなかなか難しい」

「……え…………」

「それじゃあ今夜。よもや〝怪盗〟が予告を翻すことはありませんよね」

「は、白馬……、テメー!」

「さて。では行きましょうか。さあ早く」

「 チクショウッ、ずりぃぞ! 俺の寝不足に付け込んで…誘導しやがってっ」


どう文句を言おうと、白馬にまんまと乗せられた俺のマケだった。
手を掴んで引っ張られ、俺は白馬にそのまま連行された。

振り仰いだ午後の空は高く、どこまでも青く澄み渡っていた。







20120813


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以下、少々長いイイワケ的あとがき等;

※やっとアップ出来ました……(汗)。書き始めてからなかなか捗らず(オリンピック見ちゃったり、小旅行に出掛けたり、毎度のように爆睡しちゃったり)、焦りながらもずるずる時間ばかり食ってしまいました。
ホントのホントは二人の〝二度目の夜〟まで書きたかったんですが、今回はとてもそこまで届かず……つなぎっぽい内容に留まってしまいました。残念。
前から少々狙っている『白快前提の新一→快斗』も、このカテゴリ内でいずれ……と野望だけはあるのですが、果たしてどうなるか?は未定です……(*_*;

ところで先週放映『レッドティアーの秘密』、赤くなった白馬くんがかわいかったです! もっと快斗くんとの絡みが欲しい~と思ったのは私だけではないはず……。ドラマCDにあーんなセリフ入れてくれちゃうんだから、もうちょいテレビシリーズでもファンの期待を汲んでいただきたいものです!……あ、一部ファン、ですか、スミマセン~(^^;)。


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