moonlight 新一×快斗

噂の二人 part IV《1/3》（白馬×快斗）
カテゴリ☆噂の二人
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わあーっと教室中が盛り上がっていた。

眠かったけど、後ろの席のヤツに叩かれたのがこないだ怪我したとこだったから痛くて目が覚めた。

……なんの騒ぎ？
ホームルーム中だったっけ。

欠伸しながら、とりあえずみんなと一緒に拍手した。さらにすごい歓声があがる。

「では、満場一致で主役は黒羽快斗君、準主役は小泉紅子さん、・・・・・には白馬探君、配役は以上に決定しまーす！！」

ん？ ……なんだって？
なんか俺、名前呼ばれた？

なんか、主役とか。へ？

俺……なんか出るの？
ああ、マジックならまかせとけって。
んじゃ紅子と白馬をふん縛って、華麗な救出ショーの豪華版を観せてやらあ。

（イテ！）

隣の青子にもバァンと肩を叩かれた。なんだよもう……。

「快斗お、学園祭にはお父さんも呼ぶからね！！ 練習がんばって！！」

─────？

チャイムが鳴ると、新聞部のヤツが教室を飛び出してった。

まだ眠い目を擦って、ようやくぼんやりと焦点を黒板に合わせる。

学園祭。クラスの出し物。いくつかある中で、演劇に○印がついてる。

…………………

よく見ると、さらにその後には「ウエストサイドストーリー」とか「美女と野獣」とか「ルパン対ホームズ」とかの演題が箇条書きになってた。

その中で○印がついてるのは………


『白雪姫』。


ぷっ。白雪姫ねえ……。
おとぎ話なんて、いまどき高校生がやるもんかね。ま、ウケ狙いなら別にいいけどさ。

ここらでさすがに俺もハタと気が付いた。
……あれ？ 俺、さっき主役って言われてた。 主役って…なんだ？


「な、青子。白雪姫の主役って、なんだ？」

「白雪姫よ」

「………」 しら、ゆき、ひめ。


あとの青子の声は俺の痺れた脳ミソのうわっつらを掠めて通り過ぎていくだけだった。

────王子様役が白馬君なんて、ぴったりじゃない！ 間違いなく注目度ナンバーワンよ。私たち、快斗にピッタリのかわいいドレス頑張って作るからね！！

────魔女の衣装は自分が持ってるので間に合うって紅子ちゃん言ってたし、あとは王子様と七人の小人の衣装をナントカカントカ。


そう。
クラス中に謀られたことに、俺はやっと気が付いたんだ。



〝ふ・ざ・け・ん・なーーーっ！！！〟



叫んだところで江古田高校２年Ｂ組黒羽快斗が逆らうことは、もはや不可能だった。
すでにクラスの決定事項として学校新聞掲載用に演目・出演者が提出され、噂を聞きつけた別のクラスのヤツらからそこら中で激励され、職員室まで噂でもちきり。下校時間になる頃には通学路の商店街へも『白雪姫フィーバー』が広がりつつあるらしかった。
まじでハンパない。ここで逃げ出したら、逆に笑いモンだ。

わあったよ。やりゃーいいんだろ、白雪姫。やってやろーじゃねえかっ！
怪盗キッドの変装だと思えばなんてことねえっ。

涼しい顔で帰り支度を始めた白馬のヤローをギロリと睨み付けた。
ふと顔を上げた白馬が、いつものように俺を見て甘く微笑んで………と思ったら。

クッと体を曲げて。笑い出しやがった。

アッハッハ、と教室に響く白馬の笑い声に、俺は今度こそ呆然と立ち尽くしたんだ。






噂の二人 part IV《2/3》へつづく

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※どうなる『白雪姫』?! 私にも分かりません(*_*;？

[11回]