名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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ペガサスの翼《2/3》(白馬×快斗)
カテゴリ☆噂の二人《3》
※メロちっく編です…(*_*;
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やはり今夜の獲物も、求めていた捜し物ではなかった。

怪盗として予告通り〝ショー〟を成功させた達成感はあっても、黒羽快斗に戻って引き上げる時の虚しさは否めない。


なぜだか、特に今夜は。

淋しい。

逢いたいと思った。白馬に。

今のこんな俺でも…赦されるなら─────。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



テレビ中継は見ないつもりでいた。無駄に神経を消耗してしまうから。
だが結局最後は気になって、テレビを点けてしまった。

怪盗キッドが宙を一回転し、ベルツリータワーから飛び降りる瞬間の望遠映像だった。
スッと画面が切り替わる……その時、一人の男がタワーの手すりに乗り出すのが僅かに見て取れた。

工藤新一だ…!

落下したキッドが低層のビルの陰に飛び込む。墜落したのかとアナウンサーが叫んだ次の瞬間、翼を広げたキッドが地上すれすれをすり抜けて行く姿が映し出された。
見物人の悲鳴と歓声が、響いていた。

僕は自室を飛び出した。
どこへ向かっていいかも判らなかったけれど。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



行くあてもなく、ただ歩く。

喧騒から離れた夜の街。
交番の警官が俺にチラと顔を向ける。軽く会釈をし、バイト帰りの学生を装って前を通り過ぎた。

─────逢いに行きたくても、逢いに行けない。

俺が今夜キッドとしてジュエルを盗み、工藤と見(まみ)えた事が分かっているはずの白馬に、のこのこ逢いに行くことは出来なかった。

携帯を取り出して画面を見る。
見ただけ。履歴を呼び出す前に再び閉じた。

白馬。逢いたいよ。

おまえに、逢いたいのに…。

街灯だけが転々と照らす夜道を、俺は独り歩くしかなかった。
あてもなく。
ただ疼く胸を押さえながら。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



どうしてこんなに気が急くのだろう。

捕まえなければ。早く〝彼〟を。
今夜のうちに。
いや、一刻も早く。
彼の心を見失わないうちに。
彼の心に刺さった矢が、彼の心を焼いてしまわぬうちに。

テレビで見た映像が脳裏に甦る。

────あのキッドのフライト。

ヘリを振り切るためだけに、あれほど危険な落下を試みるだろうか。
それほどギリギリのタイミングだった。
これまでの無茶を、超えていた。

もしかしたら…工藤の存在が、彼にあんな危険を冒させたのではないだろうか。

だったら彼は傷ついている。
自分の迷いに、きっと傷ついている。

僕は走りながら携帯を取り出した。
着信はない。
こちらから彼に発信してみるべきか。
考えたがやめた。仮に電話に出たとしても、場所は言うまい…。

見つけるしかない。一晩中走り回ってでも。

夜空を仰ぐと、明るかった月はいつの間にか半分雲に隠れていた。

黒羽くん……君はいま、どこにいるんだい?

待っていたまえ。僕は君を見つける。

必ず、見つけてみせる。







ペガサスの翼《3/3》へつづく


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