白衣でドッキリ《1/2》
※タイトル通り軽いです(^^;)。
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「次は江戸川コナンくん。キミね」
「………」
ゆるふわカールの髪を揺らしてニッコリ笑う校医の先生。
なんで今日になって突然女の先生なの? それもこんなに若くて綺麗な。
「おいコナン、身長のびたかよ? おれなんか前より1センチも大きくなったんだぜ!」
「元太くんは身長だけじゃないでしょ。体重なんかもっと」
「いいだろ光彦、成長してんだからよ。歩美と灰原はどうだ? 体重ふえたかよ!?」
「やだぁ~、ないしょだよ。教えないもん!」
「女性に体重訊くなんてサイテー。セクハラで訴えるわよ」
「おい、せくはらで歌えるって、なんの歌だ、光彦」
「歌じゃないですよ、女性に体重をきくのは失礼だっていう意味です!」
ボケの元太に突っこむ光彦。いつもの暢気な教室。だけどオレはひとりでドキンドキン跳ねる心臓と戦っていた。
落ち着けオレ。小学校一年生のくせに白衣の女医に一目惚れっておかしいだろ。中身は高校生だけどさ。にしても、ちょっと美人で若くて脚がすらっとしてて流し目がセクスィーだからって、こんな簡単に舞い上がっててどうすんだ。
────江戸川く~ん。
どき。
女の人の声。まさか。
廊下の方を振り向いたら、やっぱりあの女医先生! 小さくオレに手を振っている。
「江戸川くん、ちょっと注意があるから帰る前に保健室に寄ってちょうだい」
「えっ…? あ、ハイ」
オレの返事に頷くと、先生はふわりと髪をなびかせて行ってしまった。
「なんだあ? コナンだけ呼びだしかよ」
「何かコナンくんの健康状態に問題でもあるんでしょうか」
小学一年でも男は男だ。元太と光彦はオレだけ美人先生に呼び出されたのが気になるらしく、二人ともジト目でこっちを睨んでいる。
「コナンくん、ぐあいが悪いならちゃんとみてもらった方がいいよ」
「心配ないわよ、吉田さん。単に心拍が上がってるだけ。まったく男って単純なんだから」
「な、なんだよ。オレはべつに」
灰原にもジト目で見られてつい狼狽えてしまう。やば。そんなに分かりやすいか、オレ…(汗)?
「でも、いつもの保健の先生どうしちゃったんだろうね。哀ちゃん知ってる?」
「しばらくお休みだそうよ。小林先生に聞いたわ。あの女医さんが臨時の校医なんですって」
コンコン。ノックしてドアを開けた。
「先生ー?」
「ああ、江戸川くん。こっちに来て座ってくれる? 扉は閉めてね」
白い布の衝立から顔を出した先生に手招きされてドキドキする。すっと伸びた指先がきれいだ。保健室には他には誰もいない。つまり────密室に二人きり。
「あのう…先生、ボクどこかわるいんですか?」
まさか小学校の身体検査でAPTX4869のことが判るとは思わないけど、念のため様子を窺う。
「少し気になるところがあるから、もう一度ゆっくり診せてほしいの。背中に聴診器あてるから背中をこっち側にして座ってくれる?」
「はあい」
言われるまま丸い椅子に座って先生に背を向け、ポロシャツを捲り上げた。
「────うひゃあ!」
ひんやりした手でするりと背を撫でられ、オレは思わずおかしな声を出してしまった。あら…うふふ、と先生に笑われて、ますます焦る。
「大丈夫? 江戸川くん、震えてるみたい。リラックスして。深呼吸をゆっくりしてね」
「はぁい…」
リラックス、リラックス。深呼吸、深呼吸…。
すうーー、はあーー。
すううーー、はぁあーー…。
「うん。そうね…。このへんかしら」
何がそうで何がこのへんだか分からないけど、冷たい聴診器と細い指先が背中をこそこそ動きまわって超コソバユイ。くすぐったくてくすぐったくて、はじめは我慢してたけど、我慢できなくなってオレはとうとう体を捩らせた。
「せ、先生っ。く、くすぐったいよう!」
「ふふん…、なるほど。背中から脇腹にかけてのこのラインが特に弱いんだなァ~」
・・・??
あれ? どこかで聞いた声。
てか、女医先生の声じゃない…?
え? 誰か他にいるのっ??!!
「名探偵、意外とちゃんと小学一年生してんのな」
エッ!??
「はい、それじゃ今度は前を向いてもらおうかな」
固まるオレの背中でポン!と音が弾けた。
漂う薄紫の煙とラベンダーの香り…
これって……ま、まさかっ!!?
《2/2》へつづく
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※お約束展開でスミマセン…あと一回お付き合い下さい~(*_*;
●拍手御礼!
「あの鋭く尖った月」「乾杯」「ステア」「デジャヴ」「ペニーホラーレイン」「追憶」「ライバル」「悔恨」へ、拍手ありがとうございましたぁ!(^^)!
[14回]