名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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アブノーマルII《2/2》(新一×キッド)

※おちゃらけのつもりがテイスト(?)が途中微妙に変わります。
スミマセン…なんでかなー(*_*;
R18表記外したんですが……ダメでしょか(汗)。

―――――――――――――――――――――


しかし、神様はいなかった。

どこ行っちゃったんだよ神様ぁー。


無慈悲で〝ドS〟な恋人に命令されて、俺は自分で一枚ずつ衣装を脱ぐ羽目になった。

こんなことなら多少無理矢理にでも、名探偵に身ぐるみ剥がれる方がまだマシだった。

屋上庭園の蒼白いLEDライトに四方から照らされる中、ベンチにふんぞり返って真顔で見詰める探偵の前で、俺は泣きながらストリップを始めた。

うう、非道い。

寒くはないけど、なんと言ったらいいか……この感覚。全身の産毛がぞわぞわと逆立つような羞恥を覚えながら、少しずつ肌を夜の空気に晒してゆく。
それでも俺が名探偵に逆らわないのは――自分でも理解できないが、どこかで名探偵に惹かれており――こんなアブノーマルな逢瀬でも、拒絶することで関係が絶たれてしまう事を怖れているからだ。
さらに言うなら、名探偵はちゃんとそれを見抜いている。
どんな無理を言っても、最後は俺が従うことが解っているのだ。そしてそれを愉しんでる。
――やっぱりコイツはSだっ、S、エス、ドのつくS!!!

「なにひとりで百面相してんだよ。ホント飽きねぇやつな、おまえ」

そんな思いやりの欠片もない言葉を冷たく吐きかけられながら、俺は震える指をいよいよ身に着けた最後の一枚にかけた。
どうしよう……。
脱いだ瞬間、大笑いされるのかも。
バカな怪盗と言われ、蔑まれるのかも――。

気が遠くなるくらいつらい。こんな責め方もあるんだ。確かに目に見える疵痕は残らないけど、代わりに胸の中はズタズタだ。
でも…自業自得だ。俺が言い出したんだから。こんな理不尽な目に遭わされても、それでも探偵を嫌いになれない俺がバカなんだ。

バカな俺。バカな怪盗。馬鹿さ加減は自分で厭と言うほどわかってる。
チクショウ……見てろよ、俺の脱ぎっぷり! こうなったら開き直ってやる。

これでどうだっ、うりゃあーーっ!!!!

気合い一発、最後は小さく手のひらに仕込んでいたマジックの煙幕を使って、ポン!という音とパステルピンクの煙の中から……俺は一糸纏わぬ生まれたままの姿を名探偵の前に差し出した。うやうやしく礼をしてから――真っ直ぐに体を起こして。








静寂。










あ…れ……?






笑わない。




ただ真剣な眼差しで、上から下まで俺のすべてを確かめるように見詰める探偵の瞳。

膝が震えるのを必死に隠す。我慢だ、ここで恥ずかしがる素振りなんか見せたら――。


「!」


探偵がベンチから立ち上がる。

はっとして僅かに身構えた。探偵の手が伸ばされる。まっすぐに、俺の方へ。

(あっ)

モノクルを付けたままだった。そのモノクルを探偵に外される。

(……)

そのまま頭を持たれ、唇を塞がれた。


……え。え。え?


信じられないくらいマトモな口付け。
どうして。
優しすぎて怖い。怖いくらい……。

唇が放されると、くらりときてフラつく体を抱きとめられた。
探偵の背に掴まりながら、ドキドキ震える。

罠だ、優しい振りしてるんだ、騙されるな、このあと絶対ヒドイことされるに決まってる。


「キッド」

「…………」

「きれいだ」

「…………」

――?

「愛してる」

え……??

「返事しねーと、くすぐるぞ」

「……ま、まま待ってください!」

この前〝くすぐりの刑〟に処せられて、半死半生のメに遭ったばかりだ。

「もう一度言うぜ。すぐ応えないと」

「だ、大丈夫です、すぐお応えしますから」

「キッド。愛してる」

「…………」

「てめブッころす」

「ま、待ってください!」


なんだ? 新手の責めか?
愛してるなんて――思ってもないくせに……俺に言わせるのか、その言葉を。俺に。

「キッド」

「…………お応えできません」

「なんだと」

俺は身を引いて探偵の腕から離れた。落としたマントを掴んで体に巻き付け、探偵の方を見た。

「…その言葉だけは、言えません」

「なんでだよ。俺を愛してないってことか」

「戯れに」

「なんだよ」

「その言葉だけは、戯れに使いたくないのです。どうかお赦しください」

俺は探偵に背を向けた。悲しくて。

どんなヒドい目に遭わされても、こんな悲しい気持ちになったことはなかったのに。
でも今は悲しい。なぜだろう。悲しくて――泣きそうだ。

「!」

背中から探偵が俺を抱きしめる。

「好きだ、キッド。愛してる。おまえが応えてくれないのも無理ねぇよな。ヒドいことばっかしてきたもんな。だけど、信じてくれよ……全部おまえのことが好きだからなんだぜ。おまえが好きだ。放したくない。手でも足でも枷つけて、永遠にそばに繋いでおきたいんだ…本当は」

――夢のような、探偵からの熱烈な告白。ああ…これまで堪えてきてよかった。
若干不穏な表現が含まれていたが、俺は初めて想いが通じた喜びに振り向き、自分から探偵に抱き付いた。巻きつけたマントが足下に落ちる。


「…嬉しいです、名探偵。私もずっとあなたをお慕いしていました。どんな事をされても――あなたに逢いたくて」

「本当か、キッド」

「はい……愛しています、名探偵」


ここで映画のようなキスシーン。


だろ、フツーは。


しかし、相手はフツーの恋人じゃなかった。根っからの〝ド〟が付く〝S〟なのだ。
ガチャン! と音がして手首に手錠がハメられた。あああ。

「……道具は使わないと、最初に約束して下さいましたよね?」

「ふふ。あれはまだ告白前だったから。逃げられると追いかけんの面倒だし」

「……私を愛してると言ってくださったのもやっぱり罠なんですね。非道すぎます!! 私は、わたしは――」

「わかってるって。俺も心からおまえを愛してるんだ。罠なんかじゃねえよ。んじゃ、告白初夜はここで拘束プレイな。燃えるぜ」

分かっていたけど。

分かっていたけど、ヒデえよ~!!

結局、俺は星空の下、深夜の屋上庭園の芝の上で両手を後ろに拘束されて、探偵の思うまま、探偵が満足するまで××から××までヤられまくった。感じなかったといえば嘘になるけど……。それにしても。

名探偵の告白は、果たして真実だったのだろうか。

告白を信じるか信じないかは、俺しだい――ってことか。

都市伝説かよ……。とほほ。








20120411



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