名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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Design by:タイムカプセル
 

HELP《2/2》(新一×キッド)
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「やっぱり俺たちを引っ掛ける罠だったのか。ふざけやがって!」

男の手がキッドのブルーのシャツの襟首を掴み、そのまま一気に引き剥いだ。

暴かれたキッドの白い肌に、他の男たちも構えた銃口を下げ身を乗り出す。
キッドが床に引き倒される。

「裸じゃ床は冷てえだろう。すぐに熱くしてやるぜ」

のし掛かった長身の男がサバイバルナイフを取り出し、キッドのズボンのベルトに差し込んだ。
喉元を抑えつけられたキッドが目を閉じる─────。

「やめろぉーっ!!」

思わずオレが叫んだその時、頭上に白閃が瞬いた。
ホワイトアウト。眩しくて何も見えなくなる。
「うわぁっ」「なんだ!」「気をつけろ!」
男たちが口々に叫ぶ。銃撃の音。危ない撃つな、という怒声。
今しかない。オレは見えないまま思い切り体を捻って背中の男の腕を振り切った。

(!?)

何かにぶつかった。そして体の下から床が消え、真っ逆様に落下する感覚。

「─────うわあああっ!!」

目を開けたが何も見えない。今度は真っ暗。闇に落ちて行く。オレは夢中でキッドの名を叫んでいた。






「…………?」

「やれやれ。世話が焼けるぜ名探偵」

気が付くと、元通りの姿の怪盗がオレを覗き込んでいた。

「…キッド!!」

オレは跳ね起きて目の前のキッドに抱きついた。

キッド。キッド…。
心の中で何度も名を呼ぶ。
キッドの息づかいが震えている気がして、オレは顔を埋めるようにして深くキッドを抱き寄せ、回した腕に力を込めた。

小さく耳元で〝名探偵〟と呼ばれる。

「………………」

あ…れ…。そう言えば。
さっきまでのは?

「…わあっ」

服が乱れたままなのに気がつく。慌ててキッドを離して自分のシャツの前を合わせた。
え?……ってことは夢じゃない。
さっきの続きだ!  れ、連中はっ?

「よかった。大丈夫そうだな、名探偵」

「キッド、あの光はおまえが?!」

「もちろん。タイの仕掛けはコレ」

握った手をキッドが開くと、パッと小さな一輪の薔薇が開いた。オレの目の前に紅い薔薇が差し出される。
キッドがオレを見て微笑んだ。

「あんな奴らに名探偵を盗られてたまるもんか」

キッドの顔がアップになる。
薔薇を挟んだ白い手袋の指先がオレの頬に添えられ、ドキンと心臓が大きく跳ねた。

長い睫毛…。小さな唇。

(あ…)

ビビビと電気が走る。
オレの唇に重ねられたのは、柔らかなキッドの唇。
優しくて…温かくて。
重ね合わせるだけのライトキス。それでも、ぼうっとなる。
数秒が永遠に思えるような一瞬。

キッドがそっと離れる。唇が急に寒くなった気がした。

「……もしかして名探偵、ファーストキス?」

「…………」

何を質問されてるのか、すぐに頭に入ってこない。
誰がファーストキスだって…?
くすりとキッドが小さく笑うのに気付いた。
どうしようもないほど顔に血が集まる。これじゃ返事しなくても丸わかりだ。

「や、やつらは?」

「さあ。とっ捕まえるのは名探偵と警察に任せるよ。ほら、名探偵のジャケット」

「あ…りが、とう」

ジャケットを受け取りながら、今更だがキッドの顔がまともに見られず俯いた。連中に暴行されそうになって、それをキッドに救われるなんて。
思い出して、はっとキッドの顔を見た。男に殴られた頬が赤くなっている。

「キッド…すまない、オレのために」

「油断させるためと、閃光弾の時間稼ぎだったからな。まぁ仕方ねえ」

キッドが口をへの字に曲げて見せる。いや、男へのキスのことじゃなくて。…それもあるけど。

「シャツは…」

引き裂かれていたはずだ。見ると結んだタイの奥、ボタンが飛んだシャツの隙間から素肌が覗いていた。それを目にした途端、また落ち着かない気分になる。

「キッド。おまえはどうするんだ、これから」

「決まってる。最後にお宝を頂くのはこの俺さ」

「レディスカイを?」

「狙った獲物は逃がさない。それが宝石でも、そうでなくても。私は泥棒ですよ…名探偵」

「…………」

「泥棒は盗むのが商売。たとえそれが人の心でもね」

「え…?」

微笑んでオレを見詰める蒼い瞳に、魅入られる。

「じゃあな、もう連中に捕まんなよ、俺の名探偵!」

「キッド!!」

ポンという音ともに煙幕が張られ、キッドが目の前から消えた。今度こそ消えてしまった。

「……………」

我に返ると、シャツのポケットにさっきの小さな薔薇が差し込まれていた。キッドの香りが残っている。

自分がしなければならない事を思い出す。
なんとかして地上と連絡をとらなければ。そしてテロリストを操る真犯人を見つけ出し、捕まっているみんなを助るんだ!


飛行船の客室部へたどり着き、ドアを開けた。窓一杯に広がる美しい夕陽に手を翳す。

キッドはまだこの飛行船内にいる。きっとまた逢える。
ジャケットの胸に薔薇を差し直しながら、オレは走り出した。

そうだ…。キッドがもしオレの心を盗むというなら、俺はキッドの心を捕まえてやる。
キッド、待ってろ。きっと捕まえるから。おまえの心を。
いつかきっと……おまえを。






20130316

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※うひい~お粗末様です。《1/2》に拍手くださった方、ご期待に添えずスミマセンッ(@@);;; 「罠」と思ったほど内容に差がつけられませんでした…(汗)。〝難波船〟だとどうしてもあのセリフを入れないわけにはいかなくて(*_*;
※同ベース設定「罠」には 2012.9.18up の続編「真逆の月」があります。よろしければそちらも併せてお読みください。

★あふる様、ありがとうございました! さっそく伺って数編拝読して、もう圧倒されてしまいました~(@_@)!

★兎子さま、発送しますね! 今しばらくお待ちください(^_^)/

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