サカナ嫌い2《1/2》(新一×快斗)
※2012.2.3up「サカナ嫌い」続編、おちゃらけバカップル話です(^^;)。
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好き嫌いに理由なんかない。
嫌いなもんはキライなんだ。
生理的に受け付けないって言えば、分かってもらえんのかな。
俺だって、少しは苦手を克服しようとしてみたさ。
この先狙うジュエルの中に、いつ〝人魚の涙〟とかいって(←いかにも有りそうだろ)ワケ分かんねーウロコの装飾が施されたビッグジュエルが登場しないとも限らねーし。
だけど、ダメなもんはやっぱ駄目なんだ。
このまえなんか、工藤にイジワルされて俺は危うく腹上死?するとこだった。
だってさ、ひでーんだ。
工藤のヤツ、俺がサカナ大嫌いって知ってんのに『オレは魚の生まれ変わりなんだ』とかアホなこと言い出しやがって。
びびってる俺に、腕にマジックで描いたウロコの模様見せて脅かしたりしてさ。
ホンットひでえだろ!
うう・・・。
薄暗いベッドの上でそれを見つけた時は、まじパニック起こしたね。 そんなわけないって思って『フザケンナ!』って怒鳴ったけど、ぴちょりと水滴が飛んできて……濡れた手で頬に触れられて、俺は完全に前後不覚になった。
なのにアノヤロウ、そんな俺を組み敷いてアクマのように、いや魚人のように目を光らせながら、ニヤァ~と笑いやがって。ウロコ模様をこれでもかと見せつけながら、俺を、俺を……………。
うわぁぁぁあっ、イヤだ思い出したくねーっ(T-T)!!!
はぁ、はぁ、はぁ…。
うう。バカやろう、工藤なんかクタバレ。
「おーい、快斗! こっちこっち」
どき。
顔を上げると、そのアクマのような魚人工藤がライトアップされた小さな噴水サークルの向こうでゴキゲンな笑顔をして俺に手を振っていた。
「なかなか来ねえから、道に迷ってんじゃねーかと思って心配したぜ」
「んなわけねーだろ。俺を誰だと思ってんだよ。その……遅れてゴメン」
謝ると、工藤が手を伸ばしてきて俺の頭をなでなでした。一瞬身構えて体が強張ってしまうのは、もちろんいろんな意味で〝どS〟な恋人に、これまでさんざん弄ばれてきたからだ。
(ぐすん。俺ってバカ・・・)
そーなんだよ。
そんなイジワル工藤に、俺も近づかなきゃいいんだよな。分かってるよ……。
だけど、我れながらしょーもないと思うけど、そんなアクマな恋人でも俺はやっぱり工藤が好きで、今日は夜のデートに誘われて日暮れ時にノコノコ待ち合わせ場所へと来てしまったんだ。
密室でなければ、そんなに危険はないはずだ…。そう考えて。
「で、いきなり泣き入れんのかよ」
「だからっ、他の場所ならどこでもいいけど〝×××がらみ〟だけはやめてくれっ、工藤、頼むから!」
待ち合わせた東京新名所の広場で、人目もはばからず懇願する快斗。
「どうしようかな」
ちょっと考える素振りを見せただけで、うるうるでっかい瞳で快斗がオレを覗き込んでくる。くす。おまえのそのバカ正直なところが可愛くてたまんないから、ついついイジワルしちまいたくなるってのに。
「大丈夫だよ、快斗。オレが手を繋いでてやっから」
「やだ。よけい怖い」
「んだとお」
「わあ、だって絶対水槽に俺を押し付けて抑えつけるつもりだろっ。しらねーぞ、パニック起こして水族館中大騒ぎになっからな!」
「そんなことしねえよ。快斗……この先、お魚をずっと無視して生きていく事なんか出来ねえんだぞ」
「できる」
「出来ないよ。少しずつ慣れなきゃ、本当にいざという時、困るのは自分だぞ」
「いざという時ってなんだよ! そんなんねえよっ」
「これまでにも何度か海に墜ちたりして、そのたび死にそうな目に遭ったって言ってたじゃねえか」
「それもほぼオメーのせいじゃねえかっ!」
「違うだろ、いつ悪いヤツに『怪盗キッドの弱点は魚だ』って知れるかわかんねーんだから」
「んな…、んなこと…、ねえっ」
声が震えてる。もう一押し。
「なんならオレがリークしちゃおうかなあ♪」
「・・・(絶句の快斗。口ぱくぱく)」
「なんちゃって~」
「ひ、ひひひ、ひでえ! 工藤のバカッ、俺帰る!」
「待てよ、快斗!!」
手を掴んで引き止めて、物陰で抱き締めて…涙で濡れた頬にキスをして。
震える快斗を宥めすかして、たくさんたくさん〝イジメない約束〟をさせられて、オレはやっとこ目的の水族館に快斗を連れて入ることに成功した。
大丈夫。大好きな快斗を、苛めたりなんかするもんか。ふふ。うふふふ。
うひひひひひ…。
サカナ嫌い2《2/2》へつづく
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※こんなアホアホネタを続きにしちゃってスミマセン…つい~(^^;)。
[14回]