名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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掠れた記憶3《2/2》(新一×快斗)R18
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避けて通れないだろう事は内心覚悟していた。

工藤と触れ合う感覚を体が覚えていることは、一週間そばで過ごして、自分でも解っていたから。



工藤に、追い詰められる。

────この忙(せわ)しなく炙られるような熱さ。憶えがある。知っている。

だけど、やっぱり恐い。
後ろ向きにベッドに倒れ込んで、勢いよく体が跳ねた。

(あっ)

俺を跨ぐように工藤が覆い被さってくる。
工藤の吐く息も熱かったが、俺の息も上擦っていた。耳鳴りがして、ずきんと頭が痛む。ぎゅっと目を瞑った。

「快斗」

耳に響く工藤の声。

「大丈夫か」

「………」

そうっと目を開ける。目の前に工藤の瞳があって、慌てて横を向いた。

「…だいじょうぶ…じゃない、って言ったら、待ってくれんの?」

「待つわけねーだろ」

「だ、だったら訊くなよ」

クッと工藤が小さく笑った。可笑しいかよ。顔中が熱くなる。

「快斗……おまえ、ホントに捕まえがいがあるな」

「うっせえ。この────」

口を塞がれた。

最初は柔らかく始まったキスが、だんだんと深くなってゆく。

(ん、うう…!)

ディープキス。まじか。無意識に応えていた。
こんなキス、してたっけ。俺、工藤とこんなに…?
苦しい。工藤の胸を押してもがいた。

やっと唇が放され息が出来るようになったら、Tシャツを引っ張り上げられた。そのまま剥ぎ取られて上半身裸になる。
喉元に吸い付くような工藤のキス。くすぐったくて、むず痒くて、熱い。

「…!」

そうしている間にも工藤の指先が下りてきて、服の上から前に触れられる。じぃんと疼きを覚えて、唇を噛んだ。


ザ、ザ、ザ。


なんだ……?

掠れた記憶が…こすれる音……?

顔を上げると、工藤が覗き込むように俺を見ていた。まるで僅かな〝痕跡〟をも見逃すまいとするような探偵の眼差し。

(うわっ)

履いてたトレパンをアンダーごと引き抜かれ、素っ裸にされた。工藤も裸に近い格好になって、俺の脚を割って間に入ってくる。脚が竦んで抗いそうになるのを、なんとか堪えた。

工藤の吐息が変わった。

笑ってる……?

「…な、なにが、おかしいんだよっ」

フフッと工藤はもう一度笑った。

「ばか。おかしいんじゃねえ。嬉しいんだよ。もう一度快斗の初めてを貰えるんだからな」

「な……っ!」

奥に工藤の指先が当てられていた。柔やわと圧される。
変な声が出そうになって、自分の口を手の甲で押さえた。
塗った薬品の潤みに助けられ、そのまま工藤の指がグッと挿し込まれる。

「ウアッ」

堪えきれずに叫んで、体を捩った。汗が噴き出す。
体を内から拓かれる、この灼けるような羞恥────。

「こっち向け、快斗」

「……いやだ」

「泣いてんのか?」

「誰が、泣くか…っ」

「気に障ったのかよ? ホントに嬉しいから嬉しいって言ったんだぜ」

「しゃ…べんな、もう!」

工藤が指を深めて蠢かす。どうしようもなく肌が粟立ち始める。 感じている。
分かっているのに、それを認めたくない自分がいた。

「探偵なんか、嫌いなんだよ!」


──── ?


何かが、また瞬いた。

曇りガラスみたいに掠れた意識の向こう側に。





解ってる。俺は意地を張ってるんだ。

だから覚えているのに、思い出すのを拒んでた。どこかで線を引いて、自分の領域を護ろうとしてたんだ。

なのに工藤は俺が引いた境界なんか平気で無視しやがる。へでもない顔して入り込もうとする。
いくつ柵を作っても、全部飛び越えて有無を言わさず俺を捕まえようとする。

俺はそんな工藤が怖い。
そんな工藤に、惹かれている。
工藤にすべてを知られる事が怖くて。
すべてを知って欲しくて…。

両極端に揺れ動く想い。

だから逆の言葉が口をついて出てしまう─────。




「いまの、思い出したのか」

「え…?」

「思い出したんじゃないのか」

俺は首を振った。工藤の言ってる意味が分からない。

「オレが何て応えたか、憶えてないのか?」

「何が…だよ。わかんねえよ」

「思い出せ、快斗。憶えてるはずだ」

絶対、憶えてるはずだ。

工藤はもう一度そう言うと、背に腕を回して俺を抱え起こした。
屹立した工藤自身が奥に当てられている。俺の体を降ろそうと肩を掴んで工藤が力を込める。
交わった部分から徐々に熱い痺れが背を伝い、全身に広がってゆく。

「…アアッ!!」

深々と工藤が侵入してくる。強い圧迫感に、気が遠くなる。

「快斗…力抜け。支えてるから」

「……う、あ…あっ」

工藤に縋り付いて息を吐き出し、少しずつ体の力を抜く。ようやく腰を落としてしまうと、もう体を動かすことが出来なくなった。

「く、どう……、苦し……」

「快斗、思い出せ」

「…………」

何を? 何を思い出せばいいんだよ。

もう十分なんじゃないのかよ…。

俺は今、おまえに捕まってるんだぜ。



ざあっと、また意識が掠れる。

ざわざわと交差して渦を巻く─────。


「!!」

突然、ガン、と突き上げられ、瞼の裏に白光が閃いた。

激しく波打つ衝撃に翻弄されて、我を失ってゆく。在るのはただ熱く脈打つ俺と工藤の生命だけ。

もう何も考えられなかった。
溶け合うような熱さに、目を閉じて身を委ねた。










目を開けると工藤が俺を見つめていた。
見つめ返して、俺は言ってやった。

「……探偵なんか、嫌いだよ」

工藤は黙って瞳だけを微かに揺らした。

「で、おまえの返しは〝嫌いって、好きって意味の暗号だろ〟」

「快斗」

「ったく…こんな恥ずかしいセリフ、よく言えるよな。探偵って信じらんねぇ」

「思い出したんだな、快斗!」

「ああ~、まあ…ね」

福笑いみたいに工藤の顔が歪む。いつも澄ましてるイケメン探偵が、こんな顔するなんて。
向き直って、俺から工藤にキスをした。
互いの顔中にキスをしあって、やがて俺たちは体を寄せ合って一緒に眠ってしまった。



目覚めた時には、きっと全てが元通りになっているだろう。

怪盗の衣装と鳩を探偵から取り返し、俺はここを出て行く。


工藤は探偵。

俺は怪盗。

工藤は追う。

俺は逃げる。

きっとそれは変わらない。

たとえ想いを通わせ、愛し合っても。

それが俺たちの宿命だから。








20130224


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