名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
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連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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眠り言(新一×快斗)
※快斗くん視点にて。
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「くどー?」

返事がない。あれ。寝ちまったのか。



……ま、いいけど。

工藤に並んで、ぽふ、と枕に頭を落とした。
工藤の部屋に泊まるからって、何か起こると勝手に思い込む俺がおかしい。


とはいえ、勧められるまま邸内に導かれ、勧められるまま風呂に入って。寝間着代わりの部屋着を借りて身に付け、このあとの成り行きに緊張までしていたのに────はぐらかされたようでいささか気が抜けた。

(…そういや、事件追ってて昨日は眠ってないって言ってたな)

このまま並んで寝ていいものかちょっと考えたが、部屋には他に眠れそうなスペースはなく、開き直ることにする。

(……にしても)

でかいベッド。キングサイズってやつかな。だけど二人並んで眠るとなると────吐息が近すぎた。

すうすう繰り返される工藤の寝息は穏やかで、それ自体が俺にとって催眠効果をもたらすはず…と思ったのだが、なんだか違うみたいだ。

ほっとする感覚はあるのに、眠気も感じていたはずなのに、工藤の息吹を数えているうちにだんだんと目が冴えて、あまつさえ鼓動が早くなるのを自覚して俺は慌て始めた。

(バカ俺、なにドキドキしてんだ)



工藤新一。
迷宮無しの名探偵。
そのとおり、俺は工藤に怪盗の素姓を探り当てられ、黒羽快斗として捕まった。

しかし工藤は俺を警察に告発するでなく、まるで新たに付き合い始めた〝友人〟のように接し、語りかけてきた。

なにを考えているのか。

最初のうちは警戒していた俺も、逃げ隠れ出来ないことは解っていたし、屈託なく投げかけられる工藤の質問に可能な範囲で返答し、約束を交わしては何度となく逢っているうちに────俺たち二人はおかしな間柄になった。

追う者・追われる者ではなくなった。

いまや〝怪盗〟の目的さえ見失いかけてる。このまま、ずっと黒羽快斗でいられたら。そんなふうに思い始めている。

だって……こんなに工藤に近付いて、どうやって欺ける?
どうやって怪盗の貌に戻れる?

考えているうちにポタ、と音がした。涙が枕に零れた音。
うえ。なに泣いてんだ俺。いまそんなこと考えんな。
ティッシュを見つけて鼻をかんだ。

眠ろう……。
せっかくの名探偵の好意に甘えて。休める間はおとなしく休んどこう。




うとうと、まどろんでいた。

風に吹かれて月を背に立つ俺。
眼下に鋭い眼光で俺を見上げる名探偵の姿。厳しく結ばれていたその口元が、俺の目を見て、ふっと綻ぶ…。
なぜか切ない。近付くことが許されなかった相手。
あれほど惹かれていながら────。



キッド、と呼ばれて、はっと目を開けた。

(え……、え?)

もう一度、キッド、と工藤が呟いた。

(なんでえ、寝言かよ…)

心臓に悪すぎる。
起こしかけていた頭を再び枕に沈ませた。
寝返りを打った工藤の温もりがさらに近付く。

むにょむにょ言ってる工藤の寝顔がかわいくて苦笑いしてしまう。こんなに無防備なとこ、俺に見せていいのかよ……名探偵。

おそっちゃうぜ?

自分へのジョークのつもりだったが、残念ながらそれはジョークなどではなく、本音の本音、本心中の本心であることはもちろん自分自身が解っていた。

解っているけど、当てはまる言葉はあるけど、その言葉を思い浮かべる事だけは懸命に避けていた。
だけど、もうそろそろ限界だ。
そろそろ認めないわけにいかない。

「キッド……」

工藤が小さく呟いて、手を伸ばしてくる。
ええい。夢の中ってことなら、抱き締めちまえ。俺はとうとう〝決壊〟した。

隣に眠る工藤の背を抱き、温かな匂いのする頸に顔を近づけた。
すると────工藤も俺に顔を押しつけるようにしてきた。

どおすんだよ、このあと。
自分で自分に突っ込んでみても誰も笑ってくれない。

思い浮かべることを必死に我慢してきた一言。寝言のふりして言っちゃおうかな、俺も。





(すきだよ……)





声になったか分からない。

でも心の中では確かに囁いた。

とたんに、信じられないような量の涙が溢れ出した。親父が死んで以来、泣いた記憶などないのに。8年間分の溜まっていた涙が本当に決壊したようになって、俺はみっともなくも工藤を抱えたまましゃっくりあげるくらいの勢いで泣き始めてしまった。

「…オレも黒羽が好きだ」

え?

「オレも、おまえが好きだ」

「え…、えっ…? 」


事態は収集不可能だった。

工藤はどこからか目を覚ましていて。

俺が囁いた言葉を聞き取っていて。

俺の大泣きにつられたのか、もらい泣きまでして。濡れた瞳を見開いて、微かに笑いながら、工藤は真っ直ぐに俺を見ていた。

「逃がさねえから。黒羽。キッドは捕まえられなかったけど」

「きたねーぞ、名探偵…ぐしっ。いつから、ひっく、…起きてやがっ…ひっ」

「泣くか話すかどっちかにしろよ」

「じゃ…先に泣く」

俺は声を上げて泣いた。
寝ぼけていたから、涙腺緩んでたんだ。せいぜい自分に言い訳して、大声で泣ける開放感と、好きな相手に背を抱いていてもらえる安堵感に身を任せて。

朝起きたらきっとひでえ顔になんだろうなぁとか考えながらも。

それでも幸福には違いなくて。
寄り添う想い人と、明け方の蒼い光の中で。

俺は一時の陶酔に身を任せた。







20120914
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※フィフティ・フィフティぽく書いたつもりなんですが、どちらかというと「快新」ぽかったでしょうか…(汗)??
※タイトル、もとはズバリ「寝言」だったんですが、なんとなくかっこつかないので「眠り言」としてあります…(^^;)。



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