平次と快斗(平次×快斗)R18
※なにげに初チャレンジの平快です。書けるのか私…? いきあたりばったりです。無謀…(*_*;
※というわけでカテゴリはハッキリ新快前提ではないのですが、ご了承下さい(汗)。
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黒羽、ここやここ!
待ち合わせ場所で、そう言いながら走り寄ってくる服部。
まさかコイツとこんな仲になるなんて、思ってもみなかった。
もちろん知り合って日は浅いし、工藤には内緒だ。アイツにいつまでも隠していられるわけがないけれど。
「ええんやな、ほんま」
「訊くなって。決心にぶるから」
「そらあかん。もう訊かへんから、はよいこ」
そう。
ライトな会話だが、俺たちは実はこれから初体験を共にしようとしていた。
大阪←→東京は恋人同士が往き来するには現代においても決して近いとは言えないと思う。まして高校生同士とあっては。
だから覚悟の逢瀬というわけだった。
「知れたら工藤にぶん殴られそうやな」
「まさか。アイツとは俺なんでもねえもん」
「ほんなこと言って後悔しよっても知らんで」
「しねえって」
工藤の気持ち。
結局掴むことができないまま────すれ違ったまま、俺は服部と繋がることにした。
だけど、誰でもよかった訳じゃない。
「服部のこと、俺ちゃんと好きだぜ」
「オレもや」
迷ったけど、俺は服部を自宅の自室へ案内した。
けっこう思い切ったことをやろうとしている。そんな時に使える場所と言えば……高校生の身分では、やはり自宅しかない。幸いというかなんというか、親は海外で現在一人暮らし状態だ。
ほほう。
服部が物珍しそうに部屋を見渡す。その様子には少しばかり胸が痛む。
以前、一度だけ工藤を連れてきたことがあった。その時はホントにただの友人としてだったけど、二人きりの空間になんだか落ち着かない気分を味わったのを憶えている。
工藤もやはり、俺の部屋をキョロキョロ愉しげに見回していたっけ…。
「……」
振り向いた服部が肩に提げていたバックパックを床に落とす。
俺たちは互いの背に腕を回し、ぎこちなく初めてのキスを交わした。
「……いいぜ」
「んじゃ遠慮のう」
最初に告ってくれたのは服部だけど、今回の言い出しっぺは俺だった。だからというわけでもないけど、特に相談することもなく、挿れられる方を俺は引き受けた。というか、逆は考えにくかった。
「…くすぐってえ」
「ンなこと言うとれんのも今のうちやで」
言い終わるなり深い口づけに見舞われ、俺は服部の仕掛ける嵐に翻弄されていった。
ゆらゆら。肌から熱が立ちのぼる。
のぼせたように、全身が熱くなる。
「あ、あっ、は…はっとり、ちょっ…」
「待たれへんで」
ぎこちなくても真摯な愛撫。
それは服部の奥にある優しさだった。
服部…。つぶやくと、平次て呼べ、と言われた。
「へ、いじ…っ」
「そうや」
「平次…もっと…」
「もっとなんや? ハッキリ言い、快斗」
「言えっか…よ、ア!」
呑み込まれる。持ち上げられて。叩きつけられて。これ以上ない羞恥に意識を灼かれながら、それでもハッキリ膨れ上がる衝動。
熱い楔に穿たれ、苦しくて堪らなくて、ただもがくしかない。空を彷徨よう手を強く握られ、夢中で縋った。
かいと…ええ顔や。こっち見い。
耳に届く服部の低い声。
恥ずかしい。だけど我慢できない。
声が。声が抑えられなくて────。
ああ…。
こんなに感じているのに。
こんなに服部と…深く繋がり合っているのに。
どうして、俺の意識から。
どうして。〝アイツ〟が。
キエテ クレナイ ンダロウ・・・・
「楽しかったで、快斗。ほんならな」
「服部…じゃなかった平次、つぎは俺が大阪に行くから!」
「それには及ばんで」
別れ際だった。人目のない駅のホームの片隅で俺にキスをくれたところで、服部の表情が変わった。
「あんまり無理すんなや、黒羽」
たった今まで〝快斗〟と言っていたのに、急に黒羽と呼ばれて不安になる。
「どういう意味だよ」
「意味は自分がいっちゃん解っとろうが」
「なに言ってんだよ? わかんねえよ!」
少し遠い目をして微笑まれ、言葉に詰まる。胸が詰まる。
「……俺を…見捨てんのかよ、服部」
「そうやない。黒羽、もう一度時間おいてみいゆうことや」
「なんでそんなこと言うんだよ…じゃあ、どうして俺に逢いに来たんだよ!」
「そらぁもちろん、オマエが好きやからや」
「だったら…!」
「逢うたから、好きやから、はっきり解ったんや」
何がだよ。いったい俺の何が解ったって言うんだよ!
しかし、問おうとする間に電車がホームに滑り込んできた。のぞみの最終に乗るなら、これに乗らないと間に合わない。
混乱する俺を残し、服部はバッグを掴むと電車に乗り込んだ。
服部が俺を振り向く。
「服部…!!」
「好きやで、黒羽。それはオレのホンマの気持ちや」
「今度は絶対俺が行くからな!」
「来んでええちゅうとるやろ」
「バカヤロー服部っ、俺を信じねえのかよ!!」
電車に飛び乗ろうとした俺を、服部は突き飛ばした。
プシューと音がし、ドアが閉まる。
「服部!!」
走り出す電車のガラスの向こうで、服部が笑っていた。唇が、またそのうちな、と言っていた。
遠ざかる電車の赤いライトが俺の心を引きずってゆくようだった。
ホームには俺一人だけが残された。
大切なものを二ついっぺんに失ったようで、淋しくて、たまらなかった。
次の電車のために歩いてきた駅員が俺を見て、君、大丈夫かい、と声をかけてきた。
俺は小さく頷いて、滲んで見えるホームのタイルの上を、独りようやく歩き出した。
20120915
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撃沈反省だらけのあとがき
※うわああぁ(++) なんでこんな終わり方を~(@@);;; こんなつもりで書き始めたんじゃないのに・・・どうしても工藤の影が消せずじまい!
さらに探偵怪盗の設定描写がスカッと抜けてました(汗)。無理矢理入れるのも変なので今回はこのままスルー…(T-T)
このリベンジをいつか! 明るく楽しくラブな平快も書きたいです!自信はないですが…!(*_*;(*_*;(*_*;
[10回]