punishment day《4/4》(新一×快斗)R18
※快斗くん視点
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こんな滅茶苦茶を強いられて──つらいのに。
それなのに…熱くて、切なくて、堪らない。
工藤だから…だ。
俺を貫いているのが工藤だから。
工藤が本気で、本当に俺を求めてるのが解るからなんだ。
───やり方は、ともかく(泣)。
ああ…苦しい…。
喉に巻かれたベルトが、鬱陶しい。
不自然に傾いて、とんでもなく体勢がキツい。
まるで自分を支えられない。
階段の支柱に掴まってたって、手に力は入らないし、衝かれるたび脚が浮いてしまって、工藤に〝繋がれてる〟感でいっぱいだ。
それに、この〝音響〟。
風呂場で歌うとエコー効いちゃうみたいのあるけど…それよかずっと空間が広いから、音に奥行きがあるというか(泣泣)。
反響して、増幅されて、天窓まで震わせて、これ絶対外に漏れてるんじゃないかと思うような〝恥ずかしい声〟が止められない。
そのうえ、滲む視界に工藤が置いたボイスレコーダーが…。
泣きたい。てか、泣いてる。
こんな声録られて…あとで強請られたりするんじゃないだろうか。
そうでなくても、こんなの聞き返されたらと思うと、考えただけで恥ずかしくて死にそうだ───。
あ、あ…っ!!
俺の腹に回した腕に力をこめ、工藤がさらに強く、深く、貪るように俺を穿ち続ける。
ダ、メ…だ、思考が…途切れる。
熱い。うねるような感覚に押し上げられ、波に浚われてしまう。
ああ…〝恍惚〟って…こういうこと…か…?
羞恥も、苦痛も、切なさも、熱さも、全部が同時に湧きあがって全身を震わせている。
〝快感〟と呼ぶにはあまりに厖大すぎる。
工藤でなきゃ、こうはならない。
工藤。
くど…う……!
(…あ …れ?)
ぼんやりと天井が見える。
視界が霞んでいるのか、あたりが薄暗いのか、よく判らない。
いつだ…? 今。
ぼうっとして、目が覚めてるんだか夢の中なんだかはっきりしない。
だけど、早くちゃんと覚醒しないとヤバイ…って本能が訴えている。
ああ、起きなきゃ…、起きなきゃ…。
(!)
腕が動かない。
(あっ!?)
うそ。
まだ手錠されてるーーっ(爆泣)!!
一気に目が覚めた。
俺はベッドに素っ裸で拘束されていた。
どうやら散々いたぶられ手錠で傷付いた手首を、手当してくれたようだが……分厚く巻かれた包帯の上から、あらためて手錠がかけられている。
ヒドイ。
ここまでされなきゃならないほど俺って信用ないの?
そりゃ確かに逃げてばっかの俺に、工藤が腹立ててたのは分かってたけど。
あ…、だけどここ。
フロアじゃない。工藤の部屋だ。
ふかふかのベッド…。
べ、ベッド、だぁあぁ~(嬉泣)!!
だが、喜んだのも束の間だった。
ぐっと体が沈みこむ。
(工藤!)
顔半分に灯りを受け、工藤が俺にのしかかり微笑んでいた。俺の下肢をこれでもかと抱えあげながら。
息を飲む。
工藤の揺らめくような黒目がちの眼差し。額にかかる前髪。
淡く開いた口もと。
ゾクゾクする。あまりに工藤がセクシーで。
俺、こんなに工藤に参ってたのか。
こんなに、こんなに…。
「快斗の望み通り、ベッドに移動して裸にしてやったぜ」
(は…?)
「ベッドに行きたい、ベッドに行きたい、って言ってただろ。それに鬱陶しいから早く裸にしてくれって」
目が回る。
そりゃ…言ったかもしれない。
だって、エントランスで、繋がれて、変なカッコで立ったまま貫かれる身になってみろ。
せめて柔らかいベッドで…って思うだろ!
「あのな…!」
抗議しようとして思わず口を噤む。
完全に喉が嗄れてる。俺、どんだけ絶叫したんだ。
(あっ)
工藤のキス……。
ああ。
温かくて、柔らかくて、とろけそうだ。
竦んでいた体の力が抜けてゆく。
──そうだ、ちゃんと伝えよう。自分の気持ちを。
工藤が告ってくれたように、俺からもちゃんと伝えるんだ。
そうでなきゃ……そうでなきゃ、この激しすぎる夜はたぶん終わらない(涙)。
「…くどう、俺も、言うから…ちょっと待って」
「何を?」
穏やかに聞き返され、逆に怖くてドキドキ心拍があがる。
「あ、あの」
工藤のこと、好きなんだ。
俺は工藤と一緒にいたい。
もう逃げたりしないから、だから。
「あの、だから、つまり、俺は……ずっと前から…工藤のことが…、出逢ったときから…その、ずっと……」
あと一息なのに。
あと一言なのに、言葉が続かない。
目の前10センチの至近距離で、真上からガン見されてて、とてもじゃないが工藤と目を合わせ続けていられない!
好きなんだよ。分かるだろ?
探偵なんだから察しろよ!!
「快斗。なんで目を逸らす」
「工藤のバカッ! 鈍男! 知るか、ボケナス! 手錠外せ!!」
── イ!!
痛ッテェエエエエエエエエエッ!!!!
また胸抓られた!!
さっきよりも酷い!!
グリグリ引っ張って爪で捻くり回しやがって!!
「工藤のバカヤローーーッ!!」
「言いたいことはそれだけか」
あああ、やっぱり気のせいじゃなく、工藤のヤツ嬉しそうだ…。
夜が明けるまで、あとどのくらいなんだろう(気が遠くなる)…。
その時、何かがチカッと赤く光った。部屋の隅の棚の上。
え、まさか。
あれ……カメラじゃねえの。
え…え…、まさか、これ、録画……(絶句)。
あとはもう、想像に任せる。
結局俺は最後まで言おうとした言葉を工藤に伝えることが出来なかった。
そして怪盗を引退した俺に、新たな目的が出来たんだ。
工藤の手にあるボイスレコーダーとカメラに撮られたヤバいデータは、何が何でも盗み出してこの世から消さなきゃならない。
探偵との頭脳戦だ。
どんなに頑強な鍵をかけたって、俺自身の尊厳にかけて、必ず盗み出す。
ついでに少しでも油断しやがったら、テメーのチクビを洗濯バサミで挟んで引っ張ってやるから覚悟しとけ!!
・ ・ ・ ・ ・
快斗の気持ちが確かめられて良かった。
オレのことが好きだって──言ってくれた。本人は言ったこと、どうやら憶えてないようだが。
つまり本音を聞けたわけだ。
それからこの手錠に鍵穴がない理由は簡単だ。
鍵はない。
バネで引っかかってるだけで、押せば外れる。単なる玩具だ。
快斗のヤツ、先入観で手錠は外れないと思い込んでるから最後までバレなかった。
百戦錬磨の怪盗で頭も良いのに、素の性格がチョロすぎる。
まあ、そのギャップも含めて大好きなんだが。
───次の戦いはすでに始まっている。
快斗は一刻も早くこのデータを奪いたい筈だ。
そうはいくか。
これは一度再生したら、オレが消す。
完璧に、頭に、目に、耳に焼き付けてから。
力尽きて気を失うように眠ってしまった快斗の髪を撫で、頬にキスする。
おやすみ快斗。
小さく『ゴメン』と呟いて、オレも目を閉じた。
20200225
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※一月下旬から2月上旬にかけて忍者ツールズのサーバ障害を挟み、かなり間延びしてしまいました(>_<)。懲りずに最後まで読んでいただき、ありがとうございました~!
●拍手御礼
「迷い鳥」「嘘と嫉妬」「怪盗の落とし物(新一編)」「ダブルムーン」「拘束LOVE」「約束の場所」「愚痴」「不法侵入」「夢遊飛行」「夕陽の教室」「回帰」「punishment day」
●キッド大好き様、雫水様、拍手コメントありがとうございました(^-^)//
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