名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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告白~風に消えた怪盗~(白馬×キッド)《1/3》
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深夜零時12分34秒。
地上300メートルにも達しようかというYKランドマークタワー、その天空の一角に〝彼〟は立っていた。

白いマントを靡かせ、手にしたジュエルを高く月に掲げて。





「キッド、危ないぞ! こっちに来たまえ!」

我ながら間抜けだと思いながら、そう叫ばずにはいられなかった。
心配など無用だ。彼には翼がある。
しかし、それでも不安を抱かずにはいられないほど高所であることは間違いない。

彫像のように動かずにいたキッドが、不意に半歩脚を引いた。ふらついたように僕には見えた。

「キッド!!」

思わず駆け寄った。手が届くはずないと解っていながら。
だがしかし彼は振り向いた。
足下の僕を認め、軽い仕草で舞い降りる。手を伸ばせば届くほど僕のそばへ。


「白馬」

「キッド…?」

キッドの頬は紅潮していた。
僕を見て微笑み、キッドはそのまま僕の胸に飛び込んできたのだ。

僕は何が起きたのか分からずに───それでもキッドを抱き留めた。煙とともにキッドが消えてしまわぬよう、包みこむようにして。

キッドの息吹が、着こなしたスーツの奥から伝わってくる。
追いかけても追いかけても僕の腕をすり抜け続けてきた怪盗を、いま僕は胸に抱き締めているのだ…!

そして僕は唐突に理解した。
怪盗に〝何か〟が起きたのだということを。

なぜなら、ここにいるのはこれまで〝白馬探偵〟と僕を呼んでいた、あの白い怪盗では既になかったからだ。

「黒羽くん…なのですか」

「ああ」

「君は…何故…」

あっさり頷いた黒羽は、姿はまだ怪盗のまま僕を見上げた。
モノクルの飾り紐が揺れている。
茫然とする僕の腕から黒羽は少し離れ、シルクの手袋を嵌めた指先で怪盗のシルクハットを頭から取りはずした。

そしてニコリと笑うと、シルクハットをディスクのように回転させ遠く放り投げた。
風に煽られたシルクハットは、あっという間に高く高く舞いあがり、夜空の風に浚われ飛んで消えていった。

「白馬、俺、見つけたんだ」

「何を───ですか」

「おまえに頼みがある。証人になってくれ」

黒羽は今夜盗んだ古(いにしえ)のジュエルを、僕に差し出した。

「月に翳してみろよ」

「……」

僕は黒羽からジュエルを受け取ると、先刻キッドがしていたように煌々と輝く満月に向け、掲げてみた。
すると…目の錯覚だろうか。クリアなはずのジュエルの中に、赤いものが透けて浮かび上がった。しかし少し角度を変えると、その〝芯〟のようなものは見えなくなってしまう。

「なんですか…これは?!」

「パンドラさ」

「パンドラ?」

「全然期待してなかったのにな。ビッグジュエルと呼べるほどのサイズじゃない。だから予告も出さなかった。俺がこれを盗んだことに気付いているのは、今はまだおまえだけさ」

「………」

もう一度覗いてみる。
ジュエルの中の赤い〝パンドラ〟。神秘的に瞬く赤い光はあまりに儚かった。

カチリ。
黒羽が怪盗のトランプ銃をスライドさせ、ふうっと息を吐いた。

「その塀際に置いてくれ」

「何をするんです」

「パンドラを壊す。それで全てが終わるんだ」






告白~風に消えた怪盗~《2/3》へつづく

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