名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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《拍手御礼》
ここ数日の拍手に感謝です。「名探偵参上」「17歳partII」「落書き白快」さらに「ひとりごと/社会復帰」 へも拍手いただきまして…ありがとうございました!

しいの様、ご来訪・拍手コメントありがとうございました! さっそくレス拝見に伺いました♪ またお話読ませて頂きに行きます~っ(^_^)///

本日のUPはここからです。


●月明かりのガーデン(白馬×キッド)
※白馬くん視点。
────────────────────────────────

婚約おめでとう、と僕は友人に声をかけた。友人は嬉しそうに笑い、婚約者の可愛らしい日本人女性を僕に紹介してくれた。


その友人は僕の英スクールでの先輩にあたり、現在は在日大学生として過ごしている。
いささか早すぎる決断ではないかと思っていたのだが、二人に逢えばなるほどと納得した。

友人はもともと日本贔屓で、スクールで僕を見かけ、学年が違うにも関わらず気さくに話しかけてくれた。以後友人として親しく付き合うようになったのだが…。

その当時から彼は日本女性に夢を見ていた。しかしまさか本当に日本の大学を選び、大学で出逢った日本女性を見初め、こうして婚約にまでこぎ着けるとは思わなかった。なかなかに意志が強い。
なにしろ彼の家はロンドンでも指折りの旧家で、生粋の英国人以外を妻に迎えるなど一昔前では考えられなかっただろうから。
それだけ友人は両親や親族からも認められているということなのだろう。

もっとも逢ってみれば、友人が卒業を待たず一刻も早くこの女性を射止めたいと焦って行動を起こした気持ちはよく解った。

今どき稀少な大和撫子。そう表現して構わないだろう。
長い黒髪、白い肌、細い手足。女性としてはやや高い背丈も、190cm近い長身の友人とはちょうど釣り合いよく、寄り添うととても絵になった。
僕は心から二人を祝福した。

貸切のガーデンレストラン。
涼やかな風が芝生を横切り、よく手入れされた庭木がライトアップされ、夜空には折りよく満月が輝いている。

乾杯が済み、招かれた客人たちが着席すると、友人の父親が立ち上がり、二人のそばに近付いた。
父親が手にした箱の蓋を開ける。
中を目にした客人たちから細波のように嘆息が広がった。

あれが友人の家に古(いにしえ)から伝わるビッグジュエル─────マーメイド・プリンセスか。深い海色のエメラルドは、昔の職人の手による凝ったカッティングにより、見る角度によって全く違う輝きを覗かせる。
友人がめでたく結婚した暁には、若い彼らの所有となるはずだ。今宵は婚約の祝いに、一足早く披露されたのだろう。

ジュエルを手にした友人が婚約者の首にかけてやると、祝賀の席は大きな拍手に包まれた。
友人と見つめ合い微笑んでいた婚約者が立ち上がる。この席での初めての婚約者の言葉を待ち、座が静まり返った。

ふっと微笑んだ婚約者は、控え目でありながらハッと息を呑むような妖艶さを湛えていた。まさに幾つもの輝きを見せる〝マーメイド・プリンセス〟…!
誰もが魅入られたように息を呑む。
ジュエルを両手に持ち、彼女は高くそれを天に翳した。

僕は─────どきりと胸が高鳴るのを感じていた。
そして、錯覚した。

その仕草はたおやかな女性のものであったけれど、月明かりにジュエルを翳して見るその姿は、まるで。

まるで。

婚約者の女性は小さく首を傾げると、座を振り返った。
そして詠うように美しい高い声音でこう言った。

「マーメイド・プリンセス…本当に素晴らしい宝石です。この宝石を永きにわたり護り通してこられた御家に尊敬と祝福を。さらに末永く大切になされますよう。お二人は必ずや幸せなご家庭を築かれる事でしょう…!」

彼女の気配の変化に皆が戸惑う間もなく、ポン!と音がして甘い香りが漂った。
煙が晴れると、婚約者は忽然と姿を消していた。

「─────怪盗キッド!!」

祝席が混乱に陥る中、ジュエルが友人の首に戻されているのを確認し、僕は席を蹴って飛び出した。

しかしキッドはすでにガーデンの中央にそびえるオブジェの上に立ち、マントを緩く風に靡かせていた。
駆け寄ると、キッドは僕を見下ろして僅かに肩を竦めた。

「白馬探偵も顔がお広い。まさか今宵白馬探偵と顔を合わせるとは思っておりませんでした」

「キッド、君は…いつから彼女と入れ替わっていたんだ? 彼女はどこだ!」

怪盗は微笑み、シルクハットを白い手袋の指先で軽く抑えて僕の問いに応えた。

「私が入れ替わったのはこの席に出る直前ですよ。彼女には控え室の次の間でお眠りいただいております。どうか白馬探偵から私の代わりに今宵の無礼をお詫びしておいていただきたい」

サグル!と呼ぶ友人の声に気を取られ視線を離すと、すぐにまたポン!と小気味よい音が響いた。
そこにはもう怪盗の姿はなかった。
微かに残る煙と甘い香り…。

サグル、彼女は無事だ。パーティーを続けるよ!

怪盗に祝福を受けた友人は幸せそうに笑って僕を呼んでいた。




20130603

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※実害は無かったということで、心が広く機微の豊かな白馬くんの友人一族・客人一同はあらためて本物の婚約者を輪に迎え祝賀の席を楽しみましたとさ。めでたしめでたし…。お粗末様でしたっm(__)m。

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