ホワイトブロッサム(白馬×快斗)
※イチャらぶONLY…(*_*;;
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目が覚めて、自分の物ではないパジャマを着ていることに気が付く。
隣を見ると、白馬はまだ眠っていた。
カーテンを透かした朝陽の柔らかさが、まだ夢の中に漂っているような錯覚を覚えさせる。
でも、夢じゃない。
張り続けていた意地を、目を瞑り続けてきた想いを─────夕べ…俺は解き放ったのだ。
広げられた腕の中に飛び込んで。
「…………」
半分枕に沈んだ白馬の顔。
こんなに間近で観察できる機会なんて、そうそうない。ベッドをなるべく揺らさないように気をつけながら、片肘を付いて頭を支え、覗き込んだ。
白馬の綺麗な顔がどアップで眺め放題。すごい特典だ。ごくんと一つ息を呑んだ。
コイツ……眉も、睫毛も色が薄いんだな。
閉じた瞼とすうと伸びた睫毛は、ちょっと触れたら壊れてしまいそうに繊細だ。
緩く流れる少し長い前髪も、癖はあるけどピンピン跳ねてる俺の癖っ毛とは違う。なんで髪までこんなに優しげなんだろう…。
それに、耳元から項(うなじ)につづく肌のライン。陶磁のような艶を放っている。
うう、俺とは違いすぎる。
俺、風呂なんてザバッと浴びてゴシゴシ洗ってジャーッと流して終わりだけど、きっと白馬はゆっくり温まって高級な石鹸たっぷり泡立てて、ふわふわと撫でるように肌を洗うんだろうな……。
想像したら、かあっとなった。
夕べ誘われた時は恥ずかしくて断ったけど、一緒に風呂入ればよかったかなぁ…なぁ~んて。
「…ん…」
ぎくっ。
白馬が小さく身動いだ。やばい。
そっと逆向きに体を返そうとしたら、長い指が伸びてきて────髪を梳くようにして頭を捕まえられてしまった。
目を閉じたままの白馬の口元が微笑んでいる。
「おはよう…黒羽くん。よく眠れましたか」
「ん…まあまあ」
よく寝た、と思う。さっき目が覚めるまで爆睡していた。
「僕はなかなか寝付けなくて……、眠くて目が開きませんよ」
「どうせ休みだし、寝てればいいさ」
「でも、あまり何時までも寝てると、ばあやが起こしにきます」
ええっ、ばあやさんが (*_*;?
「そ、それじゃ俺もう帰るよ! 邪魔したな」
「嘘ですよ」
ベッドから出ようとした俺に、体を起こした白馬が両腕をまわしてくる。
抱き締められて……穏やかな白馬の体温がパジャマ越しに伝わってきて、それが気持ち良すぎてツラい。
「誰も来ません。自分のペースに干渉されるのを僕が好まない事は、家の者は解っていますから。休みの日に二階に上がってくる者はいませんよ」
「…………」
「安心しました?」
「でも、さ、やっぱり…そろそろ帰るよ」
白馬の家族のことを思うと、どうしたって罪悪感を抱かざるを得ない。なんといっても俺は世を欺いている身だ。
「君と本当に一つになりたいです。僕は」
「え…」
「昨夜だって、僕はほとんどそのつもりでいたんですよ」
「………」
「なのに君は、僕がバスから戻ってきたらもう眠ってしまっていて。あんまり気持ちよさそうだったので、起こすに起こせませんでした」
「そ…、ごめん、ゴロンとしたらすぐ寝ちゃったみたいで」
なんだか熱くなって汗が噴き出した。
「仕方ないので、明け方まで君の寝顔を見てたんです」
「げ」
「げってなんですか。まあよいです。急ぎませんよ。君が振り向いてくれただけで、僕は信じられないほど幸せなんです。……今も夢なんじゃないかって」
そう囁いた白馬の声が急に震える。
見上げると、白馬はまだ目を閉じたままだった。
「叶うまいと思っていました。諦めなければならないと。だから……目が覚めて君が隣にいると分かっても、僕は怖くて目が開けられない」
「白馬…」
「君はここにいる。でも、もしかしたらこれも夢の続きで、目を開けたら君が消えてしまうのではないかって」
「なに言ってんだよ」
「君の寝顔をずっと見ていたのもね…、眠ってしまったら君が消えてしまうのではないかと思って、怖くて眠れなかったんです」
「…………」
「黒羽くん。君が好きです。どうか…消えないで────」
白馬の睫毛が濡れ、やがてぽたりと一粒零れた涙が俺の頬に落ちた。
俺は白馬の頬に指で触れた。
「おまえがそんなに臆病な奴だとは思わなかったぜ」
「…黒羽くん」
「それでよく俺を捕まえられたなァ。消えたら、もう一度捕まえればいい。出来るだろ」
「君は、またそうやって僕を挑発する」
「そうじゃねえよ。おまえがあんまり…」
あんまり、カワイイとこ見せるからさ。
なんだか俺まで切なくなる。
チュッと白馬の鼻先にキスをした。
「ホラ、目を開けろよ」
「………はい」
「白馬探!」
名を呼ぶと、白馬はビクッと小さく睫毛を瞬かせた。
ゆっくりと─────開かれる瞼。
ポロリとまた一粒、白馬の目から涙が光って零れ落ちた。
「黒羽くん」
「おはよ。やっと起きたか」
明るい色の瞳が、眩しそうに俺を映していた。
オハヨウのキスを、今度はちゃんと白馬の唇にしてやった。
ただ互いの背に手をまわし頬と頬を寄せて抱き合っていた。
いつの間にか、俺の目からも涙が零れていた。
20130402
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※思わせブリな導入でスミマセンでしたっ。少し手を入れましたー (@@);;;
※白馬邸には二階にほぼ探くん専用となっているバスルームがもう一つあるという設定にて…お許しをっ(*_*;(*_*;
[13回]