名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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フェイク(3/3)新快前提 平次→快斗

「黒羽んちに泊めてくれっ!」

「……ムリ」

俺にとって、自分のテリトリーの最もコアな自宅はすべての種明かしのネタを隠してある所だ。
工藤だって――本当は家に上げたくないくらいだ。
それを、やはり探偵を名乗る服部を家に入れて泊めるなんて、どう考えても無理だ。

「殺生なー、黒羽ァ」

「工藤んトコ行けよっ、たくさん部屋あんだろアソコ」

「俺は黒羽ともっと深く知り合いたくて来たんやで!」

「俺もう行くぜ、用事あるから。んじゃな」

「怪盗キッドの予告は今夜やったかいなぁ」
「…はぁ?」

一瞬、立ち止まってしまった。
心の中で舌打ちする。

「ちゃうよなぁ。確か予告は明後日や。てことは下見か」

服部の顔は笑っているが、目は笑ってない。どいつもこいつも探偵ってやつは――。

「そういや、白馬も同じ高校のクラスメートなんやってな。珍しないか? 黒羽を中心に探偵が三人。あ、ひとりは俺の事やで」

「別に俺が中心なわけじゃねーよ」

「そうかいなぁ…? な、工藤とはどないなイキサツで付き合うことになったんや?」
「忘れた。工藤に訊けよ」

すっかり日が陰り、肌寒さを感じる。服部が一歩、二歩と間合いを詰めてきた。どうすべきか迷う。

目の前に立たれた。

「黒羽の正体、いや、キッドの正体知りたいなー。裸に剥いたらなんか出てきよるかな」

挑発してる。無視だ。さっさと帰ろう。

服部に背を向けて歩き出す。
凄い視線を感じる。突き刺すような、殺気といっていいくらいの。
――来る。

「!」

左肩を掴んだ服部にクルリと体を反転させられながら柔術の体落としの要領で地面にひっくり返される。一瞬だった。しかし後頭部は服部が差し出した手の上に落ち、直接の衝撃からは守られた。
背に感じるコンクリが冷たくて妙に硬い。

「…なにすんだよ!」
「ワリィな黒羽。次いつコッチに来れるかわからんし、チャンスは有効に使わんとアカンさかい」

喉元を腕で押さえられ、息が詰まる。

「暴れんなや。俺も黒羽にケガさせとうない」
「バカヤロ、苦しいっ、どけっ!」
「ああ~、どけへんなぁ」

耳元にゾクリと熱が這う。服部の舌だ。
「や…っ、服部っ!」


不意に圧迫感が消えて、体が軽くなった。
誰かいる。服部を俺から引き剥がしたのは――

――まさかの白馬だった。

白馬が? 何でっ?!!!

「服部くん、君って男は……見損ないましたよ」

「こら驚いた。工藤じゃなくて白馬とはな」

「偶然学校の近くを通ってよかったですよ。バイクに乗った関西弁の男が黒羽くんや僕のことを聞き回ってたっていうじゃないですか。気になって探してみたら…。大丈夫かい、黒羽くん」

「…うん」

「良かった…。服部君! 悪ふざけじゃ済まされませんよ! 君の探偵生命も終わりです!」

そんなオーバーなァ、と服部がつぶやくと、白馬はますます激昂した。

で、結局今日一番大変だったのは服部に襲われかけた事ではなく、白馬を落ち着かせることだった。

明後日の犯行予告のために下見に行くはずだったのに、とうとう行けずじまい。残る明日に賭けるしかない。ミスったらどうしてくれんだ。はぁ。

でもまあ、俺が本心から白馬に感謝の意を伝えると、白馬は例の甘ったるい笑顔を見せて、やっとの事引き上げてくれた(家まで送ると言って粘られたが断った)。




確かに、見回すと探偵だらけというのは良い環境とは言えないなぁ、なんてため息をつきながら歩き出すと、とうにどこかへ去ったと思っていた服部が再びバイクで現れた。

「あ~あ~。よりによって白馬に邪魔されるとは情けないワ…」
「服部…!」
「警戒せんでええ。あのままじゃさすがに俺も後味が悪いよって挨拶に戻っただけや」

先刻の挑発的なオーラは消え、普段モードの服部だった。

「黒羽、預かりにしとくで」
「…なにを」
「わざとよけんかったやろ、さっき」
「えっ」
「とぼけても無駄やで。次は逃さへんって。キッドさんよ」
「まーだ言ってんのかよ」
「ハハハッ。いつでも大阪遊び来いや! ただし工藤と白馬は連れてくんなや。これ、こないだ交換しそこなった携帯番号とメルアドや」

名刺のようなカードを俺のシャツの胸ポケットに差し込み、最後に『すまんかったな』と言い添えると服部はバイクを飛ばして今度こそ去っていった。


なんか…疲れた。


――でももし――あのままだったらどうなっていたんだろう。

服部が本気だったかどうかわからない。俺がボロを出さないか試しただけのフェイクだったのかも。
まさか本当に俺を狙うような、そんな酷いヤツではないと…思いたい。




20110922

―――――――


あとがき

甘いな快斗くん、平次はあの瞬間は本気だったよ!
そしてつい白馬君まで勢いで出しちゃいました。えへへ。快斗くんモテモテが書きたかっただけです。

白馬は『逢魔が時』で、平次は今回の『フェイク』でそれぞれ前哨戦したわけなので、次に快斗くんが隙を見せようものなら今度こそー! と燃えつつ終わります。ありがとうございました… (^。^;)

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