名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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蔦の絡まる家 II《1/2》
カテゴリ★3/4組
※白馬くん視点にて。
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「蔦くらい絡まるでしょう。工藤邸は庭木が豊かですし」

僕が言うと、服部はチャウチャウと首を思い切り左右に振った。




「蔦くらいどころやないねんて。そらもうアッホみたいに生い繁りよって、窓やらドアやら壁一面ビッシリやねん!」

「夏ですからね。少し手入れを怠ると一気に茂るでしょうから…」

「んな生易しいもんやないわい!ぶわーっ、ずぉーっ、ぶぁさぶぁさ~っ、ちゅう勢いで、家の中なんぞ真っ暗闇や」

「関西の方はオーバーですよね」

「コラ白馬っ、真面目に聞かんかい。ええか…もしあれがマボロシやなかったら、工藤も黒羽も幽霊に取り憑かれてもうてんやで!」

「つまり夢だったという落ちでしょう? 工藤邸は近隣じゃ〝幽霊屋敷〟と呼ばれているそうですから、先入観と体調不良が重なって厭な夢を見たんですよ。落ち着いて考えれば分かることです、服部くん」 

東京にいるという服部から連絡を受け、僕は指定された駅構内のファストフード店へ来ていた。
かつてないほど冴えない顔色をした服部は目だけを爛々と光らせ、それこそ幽鬼のように見えなくもないほどだ。

一通り〝工藤邸奇譚〟を語り終えると、服部は『ホンマやいうとこ見せたる』と言ってきかず、これからもう一度工藤邸に行くから僕にも来いという。
半分呆れつつ、夏休みに黒羽に会える口実ができた僕は、結局は服部と共に工藤邸を訪れることにした。




工藤邸が近付くにつれ、無口になる服部の様子を僕は観察していた。
僕は僕で黒羽には会いたいが、工藤と黒羽が仲良く過ごしているところを目の当たりにすることに少なからず抵抗もある。

さもあらん───夏の宵の夕陽を浴びた工藤邸の壁面に這う蔦は、服部の話に比べると微々たるものに過ぎなかった。
しかし服部の表情は工藤邸が迫るにつれますます硬く、まるで何かと葛藤しているかの如く険しくなってゆく。

『どこが生い繁っているんですか』とツッコむべきタイミングを、僕は逸した。

『君もやはり取り憑かれてしまっているようだね』と軽口を言うには服部の眼差しは真剣すぎ、そして工藤邸から漂いくる気配はあまりに静謐だった。

僕も服部に感化されてしまっていたのだろう。
確かに二階の、ある一室の窓の辺りだけ他よりも蔦が濃いように見える。

あっと服部が声を上げ、一瞬立ち止まった。
僕も同じものを見ていた。
服部が何に対して声を上げたのか、だから分かってしまった。

蔦が動いたのだ。

風の悪戯に違いないが、まるで僕らを待ちかねているかのように。手招きしているかの如く。


「チャイム、鳴らさないんですか?」

「ああ、突撃や。ええか白馬、工藤も黒羽も、見付けたらとにかく家から引っ張り出すんやで」

「わかりました」

ここまで来たら、服部の気が済むまで付き合うほかない。
工藤邸の敷地内には夏の夕刻の重い空気が澱んでいる。

しかし、僕には自信があった。

黒羽が霊に取り憑かれるなど、そんな事あるはずがない。黒羽の父親の霊が、黒羽や工藤に害を及ぼすなどということは絶対にない。

仮に〝霊〟というものが日常の狭間に現れる瞬間があったとしても。
それだけは絶対にないはずなのだ。







蔦の絡まる家 II《2/2》へつづく
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※前回upのフォロー編のつもりで書き始めたんですが…書いてるうちに延びてしまい;;以下次号です(*_*;

★拍手御礼
「マゴウコトナキ」「蔦の絡まる家」へ 拍手ありがとうございました(^_^)ノ


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